社会保障

社会保障制度とは?年金制度や医療保険を含む社会保障制度をわかりやすく解説

社会保障制度とは?年金制度や医療保険を含む社会保障制度をわかりやすく解説

この記事の早わかり要約

  • 社会保障制度は、国民の生活を守る公的支援制度で、「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4つの柱から成り立っています。
  • 公的年金や医療保険、児童手当や生活保護など全て社会保障制度に含まれています。必要な際に制度の恩恵を受けられるよう、内容をしっかりと理解しておきましょう。

社会保障制度とは?どんな成り立ちなの?

災害や病気などで一時的に自立した生活ができなくなることは誰にでも起こりえます。そんな時、社会全体でサポートしてくれるのが社会保障制度です。

 

社会保障制度は、大きく4つの柱で構成されています。年金などでおなじみの「社会保険」、高齢者や障害のある人などの支援を行う「社会福祉」、生活に困っている人々を助ける「公的扶助」、人々の健康を維持するための予防や衛生環境を整える「保健医療・公衆衛生」です。

 

社会保障制度の成り立ちや、どのようなサポートがあるのか、詳しく見ていきましょう。

 

制度としての社会保障の先駆けは、明治時代に始まります。近代社会形成を目指した明治政府が、国による窮民救済を行うようになりました。江戸時代の藩政がなくなり、中央政府による救済が登場したのです。

 

ところが、まだ社会保障制度形成期のため、対象となるのは、70歳以上や15歳以下で困窮している場合といったように、保障の対象範囲が限定的でした。

 

政府の陣容が整ってきた大正時代には、医療保険の先駆けである「健康保険法」(1922年)が制定されました。当時のお手本は、ドイツの疾病保険でした。

 

第一次世界大戦後の不況で、工場の閉鎖などが相次ぐなか、工場労働者等の救済が目的の保険創設でした。

 

その後、1938年に国民健康保険法が制定され、対象は農村漁村民にまで広がりました。

 

第二次世界大戦後、昭和20年代に今の社会保障制度のベースを「日本国憲法」に基づいて整備しました。戦後の混乱期を乗り切るため、生活困窮者の緊急支援を行ったのです。

 

続く昭和30年代、40年代は、高度経済成長期でした。社会保障制度も、緊急支援から、全体を見渡した国民皆保険制度・国民皆年金と社会保障制度を発展させる段階を迎えます。

 

その後、バブル崩壊などを経て、日本経済は高度成長から安定成長へシフトチェンジします。社会保障制度は今に至るまで、時代や経済社会の変化と共に見直されてきました。

 

日本の社会保障制度をわかりやすく解説!

冒頭に、社会保障制度には、「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保健医療・公衆衛生」の4つの柱があるとお伝えしました。

 

日本では、この制度を存続するため、国民も社会的義務を果たすことを求められています。具体的には、社会保険料や健康保険料等の財源となるお金を支払うことで、制度の存続を支えることです。

 

支払い能力(所得水準)に応じた保険料額の設定などにより、収入が多い人はより多くを負担して社会保障制度を支えているのです。この財源を元に、生活を支える各種保障が受けられます。

 

また、日本の社会保障制度は、広い範囲に適用されています。例えば、高額医療費などのように、一定の金額以上の支払いが発生する場合には負担が軽減されます。

 

医療保険に至っては、ほぼ国民全員の加入が法律で定められています。自己責任で加入する国とは大きな違いですね。次章では、諸外国の社会保障制度を見てみましょう。

 

諸外国の社会保障制度は?日本とどう違う?

制度としての社会保障は、15世紀以降のイギリスで行われていた救貧活動がスタートといわれています。イギリスでは、「ゆりかごから墓場まで」といわれるほど、充実した社会保障制度が整っています。

 

アメリカは、基本的に個人の判断を尊重するとして、医療保険等の強制加入はありません。全ての国民が何らかの医療保険に加入する「国民皆保険制度」を取り入れている日本とは大きな違いといえます。

 

『高福祉国家』で有名なスウェーデンは、高負担国家でもあります。日本でいうところの消費税にあたる付加価値税は25%、所得税30%と高い税金を納めているからこそ、充実の社会保障制度が実現しているのです。

 

諸外国の制度を少しのぞいて見ましたが、いかがですか?各国共に、国民の幸せを願っての制度であるところは共通していますね。

 

社会保障制度の4つの柱とは?

国民のセーフティーネットである社会保障制度。「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保険医療・公衆衛生」の4つの柱は、それぞれどのような場合に利用できるのか確認してみましょう。

 

「社会保険」は、医療保険や年金保険に代表される制度です。病気にかかった際に病院へ行くと、健康保険に加入していれば、医療費の3割負担で診察を受けることが出来ますね。

 

これは、残りの7割を自分の加入している医療保険(健康保険、国民健康保険等)が負担してくれているからです。

 

このように、病気やケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などの際にも、一定の割合で社会保険の給付によって国民の生活水準の保障をしています。

 

「社会福祉」は、高齢者や障害のある人、母子家庭などの生活をサポートする公的支援です。

 

「公的扶助」は、生活が立ち行かなくなった人々に、経済的に最低限度の生活を保障し、今後の自立を助けるための制度です。「生活保護」はこの公的扶助に含まれます。

 

「保険医療・公衆衛生」は人々が生活する上で、健康に暮らせるよう、さまざまな予防措置や衛生面を管理する制度です。

 

社会保険制度について、もっと詳しく知りたい!

社会保障制度の中で、消費者である私たちに一番関係が深いのが「社会保険」です。社会保険には、具体的には年金制度や、医療保険、介護保険や労働保険などがあります。それぞれの制度の内容をよく理解しておきましょう。

 

公的年金制度は、どんなもの?

公的年金に加入している人(被保険者)が一定の年齢になると支給される公的年金のことを老齢年金といいます。

 

日本では、20歳以上の全員が国民年金厚生年金に加入義務があるため、この制度が成り立っています。現在、給付は原則65歳から始まります。

 

日本の年金制度は、よく2階建ての建物に例えられます。1階は、国民全員が加入する国民年金。2階部分は、会社員や公務員の人が加入している厚生年金です。

 

厚生年金に加入している人は、国民年金と厚生年金の保険料を支払っているため、給付もその分多くなります。

 

公的年金とは別に、1階部分しかない自営業の人や、よりゆとりある老後を願う人が任意で加入できる「3階部分」があります。国民年金基金や確定拠出年金がこの3階部分にあたります。

 

日本の年金の仕組みは、「世代間での支え合い」といわれています。現役世代が保険料を納め、高齢者の年金給付財源にあてるというものです。

 

1階部分、2階部分も同じ仕組みですが、3階部分だけは例外で、「納めた人の分は本人に給付」される仕組みとなっています。

 

特に、確定拠出年金等は、個人の掛け金や運用によって大きく結果が変わってくるため、他の年金制度とは一線を画す制度といえるでしょう。

 

また、公的年金には、老齢年金の他に、被保険者が所定の障害状態になったときに支給される障害年金と被保険者が亡くなった際に、残された遺族に支給される遺族年金があります。

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医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度)って、ざっくりいうと?

次に、医療保険制度について見てみましょう。日本の医療制度は、「国民皆保険」といわれ、国民全員を公的医療保険で保障しています。

 

このおかげで、自己負担は原則3割で、医療を受けることができます。また、医療機関を自由に選べるのも特徴的です。

 

国によっては、自由に選べない場合もあるからです。運営財源は社会保険方式で保険料として徴収し、公費と税金により制度を維持しています。

 

健康保険は、健康保険の適用される事業所で働く会社員が加入しています。健康保険には、海上で働く船員を対象とした船員保険、公務員などの加入する共済組合があります。

 

一方、自営業や専業主婦の人などが加入する国民健康保険は、市町村が運営していましたが、平成30年4月からは、市町村と共に都道府県主体で運営を担っていくことになりました。

 

75歳以上の人が加入する医療保険として、後期高齢者医療制度があります。後期高齢者医療制度の自己負担は、所得により変わってきます。

 

原則自己負担1割で受診できますが、現役並みに収入のある人は、医療機関を受診した際、自己負担が3割となります。

 

介護保険とは?どんな人が加入するの?

介護保険は、平成12年4月に始まった制度です。運営しているのは市区町村なので、保険料がお住まいの地域ごとに異なります。

 

加入するのは40歳以上の人全員で、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者、65歳以上の人を第1号被保険者といいます。

 

65歳以上になると、介護が必要と認定された場合に介護サービスが受けられます。また、40歳から65歳未満の人でも、特定の疾病などが原因で介護が必要と認定されると、介護サービスを受けることが可能です。

介護保険とは?介護サービスの種類と料金を見てみよう

 

労働保険とは?どんなサービスがあるの?

労働保険は、勤務中や通勤途中の事故などを補償する労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称です。

 

通勤時の事故や失業の場合は、それぞれの保険から給付を受けますが、保険料の納付については、一つの労働保険として行います。

 

事業主は、従業員を一人でも雇えば、労働保険に加入し、同時に保険料納付の義務が生じます。

 

このように、社会保険の種類は実にさまざまで、どれも私たちの生活に欠かせないものです。

社会保険の医療保険や介護保険のこと、誰に相談すればいい?

 

社会福祉制度とは?

小さなお子さまがいる家庭、母子家庭、障害のある人や高齢者などに対して支援する制度で、対象者別に支援内容が整っています。

 

保育所の設置や保育料の軽減、児童手当の支給、公立高等学校の授業料の無償化、障害者の人が生活しやすい街づくりや自立支援、バリアフリー化した住宅環境の整備など、多方面から私たちの生活を支えてくれています。

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公的扶助制度とは?

病気やケガなどの際には、健康保険などで医療機関を自己負担3割で受診することができます。

 

また、失業した際には、一定の要件を満たしていれば雇用保険から失業給付を受けることができます。

 

ところが、こうした社会保険ではサポートしきれないほど生活に困ってしまった場合は、どうしたらよいのでしょうか。

 

日本国憲法は、第25条で、全ての国民は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としています。この精神に基づいて、社会のセーフティーネットとして設定されているのが、公的扶助制度です。

 

具体的には、必要最低限の生活費を保障し、自立の助けをする「生活保護」制度を取っていて、8つの扶助があります。

 

日常生活にかかる費用の「生活扶助」、家賃等の「住宅扶助」、子どもの教育費等の「教育扶助」、医療機関受診等の「医療扶助」、分娩介助など安心して出産をするための「出産扶助」、介護サービス費等の「介護扶助」、仕事に就く上での「生業扶助」、葬式費用等の「葬祭扶助」となっています。

 

これらの扶助を受けるには、資産、能力等の要件が決まっていて、ミーンズ・テストという資産調査が行われます。支給額は地域や世帯の状況によります。

 

保険医療・公衆衛生とは?

医療や公衆衛生の観点から、国民の健康維持・向上、疾病予防を目的とした制度です。

 

各地域の保健所や保健センターが中心となり、健康診断の実施や感染症の予防、対策等を行っています。公害対策やペットの保護も、「保険医療・公衆衛生」に含まれます。

 

社会扶助とは?

「扶助」には「助ける」という意味があります。社会保障制度の中でも、保険の給付かどうかで社会保険か社会扶助かが変わってきます。

 

公的年金や医療保険などの社会保険は保険料を財源としているのに対し、社会扶助は、保険の仕組みを使わず、税金を財源としています。

 

そのため、事前に保険料などを納めていなくても、給付の要件を満たした人は、現金やサービスの提供による社会扶助を受けることができます。

 

「社会扶助」は、経済的に困窮している人や、社会的に弱い立場の人を救うための制度であり、社会保障制度のうち、公的扶助や社会福祉制度は社会扶助になります。また、児童手当のように現金による給付のことを社会手当といいます。

 

日本の社会保障制度のこれから

ここまで日本の社会保障制度について見てきました。医療保険制度等は、「国民皆保険」で、安心して医療機関を受診できる制度が整っているということがおわかりいただけたかと思います。

 

また、日本は世界の国々と比べて、「高齢者の給付が手厚い」ともいわれています。

 

ところが今、日本は少子高齢化を迎え、総人口も徐々に減少していくと試算されています。

 

国は社会保障制度存続のために、制度の変更や様々な施策を試みています。私たちも、一人ひとりが将来どうありたいか、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

 

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おさらい

  • 社会保障制度は、国民の生活を守る公的支援制度で、「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4つの柱から成り立っています。
  • 公的年金や医療保険、児童手当や生活保護など全て社会保障制度に含まれています。必要な際に制度の恩恵を受けられるよう、内容をしっかりと理解しておきましょう。

(最終更新日 : 2019年1月10日)

執筆者

大倉 愛子

ファイナンシャルプランナー、ライター

投資歴30年。国土交通省交通運輸記者会所属の専門紙編集長を務める。

難しい金融用語をわかりやすく伝えることがモットー。

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