もくじ
受け取り時に、課税される場合と非課税の場合の違いとは
保険に加入していて保険会社からお金が支払われる場面は大きく分けて4つあります。保険の解約・保険の満期・被保険者生存中の保険事故による給付金・被保険者死亡による保険金です。それぞれのケースで課税方法も異なってきます。
保険の解約
完全に掛け捨ての保険でなければ、保険を解約すると解約返戻金が返ってきます。このお金に税金が発生することがあります。課税対象となるのは払い込んだ保険料の合計額よりも受け取る額の方が大きい場合です。
一括で受け取る場合
一時所得として所得税が課されます。一時所得は総合課税といって、他の所得と合算される仕組みとなっています。
年金形式で受け取る場合
解約の場合でも、何年間かに分けて受け取れることもあります。この場合は雑所得として所得税が毎年課税されることとなります。雑所得は支払った保険料の合計額と受取額の差が(他の雑所得とも合算して)20万円以上ある場合に課税されます。
保険の満期
この場合は保険契約の形態によって2種類に分かれます。満期保険金の受け取りも解約返戻金同様、払い込んだ保険料よりも受け取る額の方が大きい場合に課税対象となります。保険の種類では養老保険、年金保険、学資保険が代表的です。
保険契約者=満期保険金受取人
契約者と受取人が同じである場合は解約と同じ課税方法となります。つまり、一括で受け取れば一時所得、年金形式で受け取れば雑所得として所得税が課税されます。個人年金保険でも年金受取開始前に一括で受け取るか年金で受け取るか選択することができるタイプもあります。
保険契約者≠満期保険金受取人
契約者と異なる人が満期保険金を受け取ると贈与税の課税対象となります。贈与税の非課税枠は年間110万円なので、他の贈与がなければ110万円までであれば税金はかかりません。
被保険者生存中の保険事故による給付金
入院給付金や、手術給付金などが支払われても全額非課税となります。このような給付金は被保険者に支払われますが、契約者と被保険者が異なっていても贈与税の課税対象とはなりません。
被保険者死亡による保険金
この場合は保険契約の形態によって3種類に分かれます。
保険契約者=被保険者
契約者が自分自身に保険をかけて死亡した場合は相続税の課税対象となります。受取人が法定相続人であった場合は“500万円×法定相続人の数”までは非課税となります。そのため、非課税枠を超える保険金が課税遺産総額の中に組み込まれ、他の遺産と合算して相続税額が決められるのです。
保険契約者=保険金受取人
たとえば、夫:契約者、妻:被保険者、夫:受取人となる場合です。この場合は一時所得として所得税が課税されます。ほとんどのケースで相続税よりも課税割合が高くなるため、できれば避けたい契約形態です。
保険契約者≠被保険者≠保険金受取人
あまりないケースかと思いますが、たとえば夫:契約者、妻:被保険者、子ども:受取人の場合などです。こちらは贈与税の課税対象となるため、金額にもよりますが税率は高くなってしまうことが多くなります。贈与税の非課税枠も110万円しかないため、なるべくなら避けたい契約形態と言えます。保険と税金の関係とは?受取人は誰?
契約者変更をした場合
親が子どもの保険をかけ、就職を機に契約者を子どもに変更することもあるでしょう。また、相続税を減らすために生前贈与として契約者を変更することもあります。実は契約者変更にも税金がかかる場合があるのです。契約者変更時点では課税とはなりませんが、満期保険金や解約返戻金を受け取った場合に課税されることがあります。変更前の契約者が払った保険料に対する満期保険金には贈与税、変更後の契約者が払った保険料に対する満期保険金には所得税が課せられるのです。
保険の受け取りはケースによって税金の種類が異なるため、契約形態による課税方法の違いはきちんと把握しておくと良いでしょう。これを機に点検してみてはいかがでしょうか。ここでは、保険の受け取り時にかかる税金について見てきました。専業主婦の方が保険金を受け取るときの注意点については、下記よりご確認ください。保険金受取時に専業主婦が気をつけたいこと
※本記載は、2018年12月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
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おさらい
- 保険の解約の際は所得税、保険の満期の際は受取人によって所得税か贈与税が課せられます。
- 被保険者死亡による保険金の税金は契約形態によって異なり、相続税・所得税・贈与税のいずれかとなります。
- 保険の受け取りはケースによって課税方法が変わるので、加入している保険の契約や受取人をよく確認しておきましょう。