高齢化社会の不安の一つに、親の老後の心配が挙げられるのではないでしょうか。
当事者である親はもちろん、子どもとしても、親の生活が心配になるところではないでしょうか。
そこで生活の援助として行われているのが親への仕送りです。現役を引退して、年金暮らしをしている親がいる場合、少しでもゆとりのある生活を送ってもらうためにと、親孝行の気持ちで仕送りを行う人も多いのではないでしょうか。
もくじ
親への仕送りの平均額は?
では一体、どれくらいの金額を仕送りするのが一般的なのでしょう?
内閣府 平成22年度高齢者の現状及び今後の動向分析についての調査報告書によると、平均額としては月額64,000円となっているようです。
これはあくまでも平均値ですので、中には1万円程度というケースもあれば、数十万円を渡してその中でやりくりをしてもらうというケースもあります。
どれくらいの人が親への仕送りを行っているの?
ところでどのくらいの人が親への仕送りをしているのかというと、同調査で約1.4%程度という数値に留まっているようです。
実はほとんどの人が親への仕送りはしていないという結果です。子どもに負担をかけたくないという理由で仕送りを断っているという親側の意見もあるかもしれません。
また、親にお金を渡しているものの、同居しているために仕送りという意識はないという場合もあります。
もちろん、仕送りをしたい気持ちがありつつも、自分の生活だけで精一杯という人もいることでしょう。
仕送りと贈与税
親の老後の生活のために仕送りの期間や金額が積み重なってくると、気になるのは税金のことではないでしょうか。
通常、1月1日から12月31日までの1年間で110万円以上のお金を贈与すると、贈与税の課税対象になります。
親の老後や日々の生活のために仕送りをしているのに、そこに税金がかかるの?と疑問に思いませんか。
実際のところはどうなのでしょうか。
親への仕送りは贈与税の対象?
さてその答えはというと、一般的には親への仕送りは贈与税の対象にはなりません。
親子間など家族には相互扶養義務というものがあり、生活にあたって必要なお金を仕送りするのは当然のことですから、贈与とはみなされないわけです。
それは子どもから親への仕送りであっても、逆に親から子どもへの仕送りであっても同様です。
ただ、仕送り金額を上限無しにいくら送っても非課税なわけではありません。
相続税法に、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、通常必要と認められるもの」と定義されているので、資産も収入も充分にあり、老後生活に不自由のないという親への仕送りの場合、生活に必要なお金という理由は認められません。
多額の仕送りをしていると、贈与税の課税対象になるのです。
別居の親を扶養に入れるには?
別居している親の所得が38万円以下である事、さらに子どもと生計を一つにしているという条件を満たせば、同居していなくても親を扶養に入れる事が可能です。
一緒に暮らしていなくても、生活費や医療費などを送金し、親の老後を支えていると認められた場合は、生計が一つとみなされます。
親を自分の扶養に入れる事が出来ると、扶養控除を受ける事が出来るようになります。
この場合、どれだけ控除されるかというのは主に控除対象者の年齢によって決まります。
親を扶養に入れた場合の税金は?
70歳未満の場合は所得税が38万円、住民税が33万円控除され、70歳以上の別居の場合は所得税48万円、住民税38万円が控除されることになります。
親を扶養に入れる場合、親の所得が38万円以下であることが条件となりますが、親が年金暮らしをしている場合はまた異なります。65歳以下は108万円以下、65歳以上は158万以下と定められています。
ただし、これは年金の他に収入がない場合に限ります。また、扶養する側の収入からいくら控除できるのかは、親の年齢や同居か別居かによっても変わってきます。
しかしこの分がすべて納税額からマイナスになるわけではなく、控除額を引いた金額に対して課税される事になります。
実際に控除される金額については、収入や家族構成、他に受けている控除によっても異なります。目安としてどのくらい控除されるのか知っておくと良いでしょう。
また、扶養控除を受けるには申請が必要です。年末調整や確定申告の際に忘れずに申請を行いましょう。
親の老後や生活のために仕送りをすることは今までお世話になった感謝の表れでもあります。
しかし、無理な金額を仕送りし、自分たちの生活も苦しくならないよう、まずは双方の家計状況を確認しておきましょう。
自分たちの生活の質を保ちつつ、親にも無理のない仕送りができるよう、国の制度をうまく活用していきましょう。
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おさらい
- 親へ仕送りをしている人の仕送り平均額は月に64,000円ですが、仕送りをしている人の割合は少ないのが現状です。
- 極端に高い金額でない限り、仕送りは贈与税の課税対象外となります。