もくじ
ざっと年金のおさらい
「確定拠出年金」という言葉が最近頻繁に聞かれるようになりました。主婦にとっても将来の心強い味方になってくれる可能性のある制度ですので、この機会にしっかりと知識を身につけておきましょう。
年金には、国民年金と厚生年金があり、この2つは公的年金と呼ばれています(公務員や教職員等が加入対象となる共済年金は、2015年10月に厚生年金と統合されました)。共済年金が廃止!?厚生年金と統合されたのはどうして?
年金はよく「2階建て」に例えられます。1階部分は基礎となる国民年金が、2階部分は会社員等が加入する厚生年金が該当します 。公的年金の金額は4月から翌3月までの年度ごとで決まります。2020年度の年金額は、法律の規定により、2017年度から据え置きとなります。 厚生労働省によると、老齢基礎年金は満額で月額65,141円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は220,724円です。厚生労働省
厚生年金加入者は、それぞれ支払った保険料に応じた金額が基礎年金に上乗せされる仕組みです。年金支給額は、消費者物価指数や経済状況等を踏まえ、決められています。
今回は、公的年金とは別に、自分たちで将来のために備えられる年金、確定拠出年金についてご説明いたします。この年金は強制ではなく、任意で加入できます。自己責任の元、資産運用をし、将来受け取ることのできる年金額を増やし、老後資金を形成することを目的としています。
確定拠出年金とは?
確定拠出年金制度は2001年から始まった制度です。401kとも呼ばれていました。確定拠出年金には企業型と個人型の2つの種類があります。企業型は勤めている企業が掛け金を負担し、加入者ごとの年金口座へ拠出します。
一方、個人型は企業年金が存在しない会社員の方や、個人事業主の方向けの制度だったのですが、加入対象者が限定的だったということもあり、あまり制度が浸透していませんでした。それが2017年1月から制度が変わり、ほぼ誰でも加入できる年金として生まれ変わったのです。
2017年1月からスタートしたiDeCo(イデコ)
上述しましたように、2017年1月から制度が変わり、すべての企業にお勤めの方、専業主婦(夫)、公務員など、加入対象範囲が大幅に広がりました。この個人型確定拠出年金の愛称をiDeCo(イデコ)と言います。イデコは、加入者が月々の掛金を拠出し、予め用意されている金融商品で運用した後、60歳以降に年金もしくは一時金という形で受け取ることができる仕組みになっています。
イデコで期待できる効果
このイデコに加入することによって、3つの効果が期待できます。
1.掛金は所得控除の対象
積み立てた掛金は全額所得控除の対象となります。つまり、控除分を差し引いて税金が計算されるので納税額が軽減されます。
2.運用利益は課税対象外
株や投資信託などの金融商品の運用で発生した利益に対しては、通常20.315%の税金が課せられます。しかし、イデコでの運用で生じた利益に対しては税金が課せられません。
3.受け取り時に税制優遇がある
受け取り方は、一時金としてまとめて受け取るか、年金形式で受け取るかを選択することができます。一時金の場合は退職所得控除、年金形式の場合は公的年金等控除の対象となり、税制面で優遇を受けられる仕組みとなっています。このように、イデコを利用すると所得税と住民税が軽減され、運用利益にも税金がかかりません。所得税と住民税に関しては、多くの人が年収から15%以上の金額を負担しています。
イデコは税制メリットが大きい為、実質的な負担を抑えて老後資金の用意をすることが可能になるのです。
イデコにデメリットはあるの?注意点とは
税制上のメリットが大きいイデコですが、メリットばかりではありません。まず、原則60歳まではお金の引き出しができません。これは、あくまでも年金制度の一種で老後資金の形成を目的としているためです。急にお金が必要になった時に引き出せないので注意が必要です。
また、資産を運用することになりますので、運用成績次第では、受け取り金額が目減りするリスクがあります。その為、運用商品の選択は慎重にする必要があります。しかしながら、公的年金の他にも老後資金を用意しておきたいという方にはメリットの多い制度とも言えます。老後計画の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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おさらい
- 個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)は加入対象者が限定的でしたが、2017年1月の法改正にともない20歳以上60歳未満の方なら、ほとんどの方が加入できるようになりました。
- イデコは税制上のメリットが大きく、税金の軽減効果も期待できる制度ですので、老後の資産形成のひとつとして検討してみるのも良いでしょう。