もくじ
疾病の定義とは?疾患、病気、似ている言葉、どう違う?
世の中には似ている意味をあらわす言葉が多くあります。今日は、疾病、疾患、病気について考えてみましょう。
まず、「疾病」とは「しっぺい」と読みます。日常生活では使うことが少ない言葉かもしれませんね。辞書で疾病の意味を調べると、「やまい、病気、疾患」と出てきます。
「病気」「疾患」を調べても同様ですので、意味合いとしてはほぼ同じ使われ方をすると思って良さそうです。
ただ、その使われるシーンは異なります。私たちは、「疾病になった」とはあまり言いませんよね。
「病気にかかった」「病欠」のように、病気という言葉をよく使うのではないでしょうか。対して、医学の現場では、特定疾病、三大疾病、心疾患、免疫疾患のように、疾病や疾患を用いることが多いようです。
また、疾病、疾患、病気が心身の不調や医療の対象となる状態を指すのに対し、傷病は病気とケガのことを指します。
日本人の死因、何が多い?
厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計(確定数)の概況によると、日本人の死因は男女ともに悪性新生物が圧倒的に多くなっています。
総数で見ると、全死因の27.4%、実に4分の1以上の方が悪性新生物によって亡くなっています。次いで多いのが男女共に心疾患。
以降、3~5位は男女によって順位は変わりますが、肺炎、脳血管疾患、老衰と同じ項目が占めています。この5項目によって、日本人の7割近くの方が亡くなっているのです。
また、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患は日本における三大死因とされています。
厚生労働省のデータによると1981年以降、現在に至るまで、死因トップは悪性新生物です。悪性新生物とはがんのことで、最新がん統計によると、一生のうちに2人に1人ががんに罹患するとされています。
また、同調査によると一生のうちにがんで死亡する確率は、男性で24%(4人に1人)、女性で15%(7人に1人)と非常に高い割合であることがわかります。
平均寿命が延びるのはいいことですが、長寿化に伴い、さまざまな疾病への罹患、それによる死亡のリスクも増えているということです。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス 最新がん統計
三大疾病とは?
健康志向が高まる中、テレビ番組や情報誌などで、「三大疾病」について聞いたことがある、知っているという人もいるかもしれませんが、ここでおさらいしておきましょう。
三大疾病とは、悪性新生物(がん)、急性心筋梗塞、脳卒中の総称です。脳卒中は、その状態により種類がわかれ、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血も含まれます。
厚生労働省 平成29年(2017)患者調査の概況によると、入院日数は短縮化傾向にあることがわかります。平成2年の平均入院日数は44.9日でしたが、平成29年には30.6日になっており、14日も縮まっているのです。
しかし、1回の入院にかかる日数は短縮傾向であっても、三大疾病の治療は長期化しやすいこともあり、その分、入院費以外にも医療費がかかることも予想されます。
下記に疾病ごとの患者数、平均入院日数、1入院あたりの平均医療費をまとめました(医療費は10割負担の場合で記載)。
実際の自己負担は3割となりますが、この他にも退院後の通院費用や薬代もかかるということを念頭に置いておきましょう。
また、同じ月内であれば、一定の金額を超えた分は医療費が払い戻される高額療養費制度もあり、所得にもよりますが、1ヶ月の自己負担は10万円程におさえられます。
高額療養費制度とは?医療費が高額になったらまずチェック
しかしそうは言っても家計への影響は決して小さなものではありません。
三大疾病による死亡率の高さや高額な医療費がかかることを踏まえて、万が一のときのために万全の備えをしておきたいものです。
出典 厚生労働省 平成29年(2017)患者調査の概況
公益社団法人全日本病院協会 医療費(重症度別)
※平均入院日数と医療費の出典元データの日付が同年同月ではないので、目安としてお考えください。
三大疾病と保険
通常の医療保険、生命保険とは別に、三大疾病に特化し保障を手厚くした三大疾病保険があります。
保険会社によっては特定疾病保険と呼ぶものもありますが、内容は似通っているので、三大疾病に備えるという点ではほぼ同等と思っていいでしょう(商品によって保障の範囲は異なります)。
この三大疾病保険の大きな特徴としては、死亡、高度障害にも対応しているということがあげられます。
三大疾病に罹患することがなければ、死亡保険金や所定の状態になれば、高度障害保険金が受け取れます。
三大疾病の備えもしつつ、何もなければ死亡保険として活用でき、状況に応じた使い分けができるのはメリットでしょう。
一方、医療保険のような入院や通院には対応していないものがほとんどですので、入院や通院にも備えたいという人は特約を付加できるかなどをよく確認しておきましょう。
一時金
細かい保障の範囲は保険商品によってさまざまですので、加入前によく確認していただきたいポイントですが、ほとんどのタイプで三大疾病のいずれかと診断されると一時金を受け取ることができます。
三大疾病は治療が長期化しやすく、その分医療費も長期にわたり必要になります。
一時金としてまとまったお金を受け取ることができれば、会社を休んで収入が減った分や、生活費に充てることもでき、家計の助けになりますね。
しかしここには大きな注意点があります。一時金が支払われる要件が、商品によってはかなり厳しく定められていることです。
急性心筋梗塞では、診断後、一定日数以上(60日程度)、労働が制限される状態が続いたとき、脳卒中では、診断後、一定日数以上(60日程度)、脳卒中による後遺症で活動が制限される状態が続いたときといったように、給付には、その疾病と診断されることにプラスして、細かい要件が定められています。
医師により、くも膜下出血と診断されたからと言って、必ずしも保険金が受け取れるというわけではないということです。
せっかく保険加入しているのに、保険金が受け取れなかったということがないように、給付要件をしっかりと確認しておきましょう。
入院給付金・通院給付金
三大疾病保険に入院・通院の保障も付加したい場合は、入院給付金や通院給付金の特約を付加することも検討しましょう。
また、それとは別に、医療保険の特約として三大疾病保障特約を付加し、入院や通院に対応できるケースもあります。もし、今医療保険に加入しているのであれば、新たに保険に加入するのか、特約を付加するのか、保険料や給付の要件などを比較してみると良いでしょう。
医療保険に特約を付加した場合、通常の入院保障、通院保障に加え、三大疾病と診断され所定の状態になると、1日あたりいくらといったように、給付金が上乗せされ支給されます。
通常の医療保険では、60日、120日といったように、1入院で何日給付を受けられるかという入院限度日数が決まっています(加入時に契約者が決めることができます)。
三大疾病の入院・通院保障の場合、1入院の限度日数が無制限になるタイプもあります。がんや心疾患に比べて、脳血管疾患は、平均入院日数が89.5日と長いので、特に脳血管疾患に備えたいという方は検討してみると良いでしょう。
また、特にがんに備えたいという方は、がん保険も合わせて検討してみてもいいかもしれません。
がん保険の選び方 給付金は何回もらえる?
免責期間
がんの場合は、加入後、90日程度の一定期間は保障の対象にならない免責期間が存在します。免責期間経過後に、保障が開始されるわけですが、三大疾病保険に加入後すぐに、がんと診断されても、残念ながら給付対象にはならず、保障を受けられません。
これはがん保険の場合も同様です。また、がんと言っても、上皮内新生物は対象外としている商品もありますので、保障の対象となるがんの種類もよく確認しておいた方が良いでしょう。
七代疾病に含まれる疾病とは?
最近では、七代疾病という言葉もよく聞かれます。
三大疾病の悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中の3つに、高血圧性疾患、糖尿病、肝疾患、腎疾患を加えたものが七代疾病です。
ただ、保障の対象となる疾病が増えるほど、保険料は高くなりますので、家族の病歴や備えておきたい疾病をよく考えて加入を検討したいものです。
また、三大疾病保険、七代疾病保険と言っても、保険会社によって保障の対象としている疾病が異なります。
がんでも上皮内新生物は対象外としていたり、一部の保障においては対象としていたりする場合があります。
また、脳の疾病では、対象を脳血管疾患としていたり、脳卒中としていたりする場合もあるので、加入前の重要なチェックポイントです。
三大疾病に備えるためには、三大疾病保険に加入する、医療保険に三大疾病保障特約を付加する、がん保険に加入するなど、保障の持ち方もいろいろなパターンが考えられます。
また、住宅購入を考えている人は、団体信用生命保険に三大疾病保障がついているタイプもあります。
既に加入している保険がある人は、これから加入しようとしている保険とのバランスをよく考えてみましょう。
疾病は予期できるものではないので、万が一の事態に備えて、保険加入の検討をしておくことも大切ですが、まずは規則正しい健康的な生活を送り、罹患のリスクを減らすことを心がけておきたいものですね。
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おさらい
- 疾病・疾患・病気の意味に大きな違いはありません。
- 1981年以降、日本人の死因トップは悪性新生物(がん)です。心疾患、肺炎、脳血管疾患も死因につながりやすい疾病で、三大死因とされています。
- 三大疾病を保障する保険や特約がありますが、給付の要件が厳しく決まっていることもあるので、加入前に入念に保障の範囲や給付要件を確認しておきましょう。