もくじ
「患者申出療養制度」とは?わかりやすく概要を説明
医療制度は、国によってそれぞれ良い点があります。日本は社会保障制度が整っていて、国民全員が健康保険に加入しているため、風邪などの通常の病気で通院する時に、自己負担額が少なくて済みます。がんなどの難病にかかっても、一定の金額までの負担で治療が行える高額療養費制度などがあり、安心して治療に専念できる環境があります。高額療養費制度とは?医療費が高額になったらまずチェック一方で、外国ですでに一般的になっているがんなどの新薬の使用については、国の承認に時間がかかり、なかなか一般の人は利用できないというのが現状です。
これを解決する一助としてできたのが、2016年4月に始まった「患者申出療養制度」です。患者から国へ申請書を提出することによって、海外ですでに承認されている新薬などを日本に居ながら治療に使える可能性が出てくるという制度になります。
こんな時に便利な「患者申出療養制度」
従来は、国内で未承認の新薬を使用するなどの際は、関連するすべての医療行為が「自由診療」となり、治療費が全額自己負担になっていました。ところが、「患者申出療養制度」で国の承認を得られると、健康保険の範囲内の診療行為であれば、健康保険を適用することができ、自己負担額を安く抑えることができます。国内未承認薬などを使いたくても、費用負担を考えると二の足を踏んでいた患者さんも、新たに治療の可能性が広がったと言えるでしょう。
「患者申出療養制度」の仕組みとは
同制度を利用する方法は、以下の通りです。
⑴ 身近な医療機関などで医師に相談し、「患者申出療養制度」を利用したい旨を告げる。
⑵ 身近な医療機関と臨床研究中核病院等で国に提出する資料を作成する。
⑶ 患者が「患者申出療養」の実施を申請する。
⑷ 国の会議で審査する。審査の内容は、患者に効くか(有効性)、安全か(安全性)、科学的根拠はあるか、どのような医療機関・医師であれば実施できるかなど(審査は通常6週間ほどかかる)。
めでたく承認が得られると、「患者申出療養制度」を利用できることになります。
健康保険は適用?費用の負担はどうなるの?
特定の大学病院などで研究されている難病治療などでは、実績を積んで治療法が確立されると、厚生労働省から「先進医療」として認可されます。先進医療の場合、技術料などは自己負担となりますが、診察料・検査料・投薬料・入院料などは健康保険を適用することができます。
先進医療とはどんな制度?自己負担と保険の関係ところが、先進医療と認められていない診療が入ると、診療や治療全体が「自由診療」となり、健康保険が適用できず、医療費が全額自己負担になります。
一方「患者申出療養制度」を利用すると、前述のとおり健康保険が適用となる入院費や検査料などの部分については健康保険が利用可能です。自由診療と比べ、治療費を安く抑えることができると見込まれています。
そうはいっても、先進医療の技術料も「患者申出療養制度」の治療費も健康保険適用外のものに関しては全額自己負担になります。何百万円単位での費用が必要になることもあるため、先進医療に備えた医療保険が気になる方もいるでしょう。
最近では「患者申出療養制度」向けの医療保険も登場して、さまざまなリスクへの備えを固める人が徐々に増えつつあるようです。
このように知っておきたい制度は多くあります。国や自治体独自の制度についてよく確認しておくと、いざというときに安心ですね。知っておきたい制度のひとつとして、不妊治療の助成制度について下記にまとめましたのでご確認ください。不妊治療の助成金に所得制限はある?助成制度の要件を確認
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おさらい
- 2016年4月から「患者申出療養制度」がスタートしました。
- 治験や先進医療でも対応していない治療を、審査に通れば受けることができるようになります。
- 画期的なのは、同制度で承認されると、保険診療部分に健康保険が適用できる点です。