介護なんてまだまだ先の話だと思っていませんか?親の介護に自分自身やパートナーの介護、その時は突然やってくるかもしれません。今のうちからきちんと調べて、必要な時に備えましょう。
厚生労働省のサイトには、介護保険で利用できる全26種類54サービスが掲載されています。その中でも今回は、特に知っておいていただきたいサービスをご紹介します。
もくじ
意外にたくさん!介護保険対象のサービス
いざ必要にならないと、なかなか調べるきっかけがないのが介護サービス。そもそも、介護サービスにはどのような種類があるのでしょうか。
介護サービスには、大きく分けて以下の5種類があります。
1.居宅介護支援(ケアマネジメント)
2.自宅で受けられる介護サービス
3.施設などで受けられる介護サービス
4.訪問・通い・宿泊を組み合わせた介護サービス
5.福祉用具の利用サービス
「デイサービス」や「老人ホーム」など、よく耳にするサービスも上記にあてはまります。しかしこれらのサービスは誰もが無条件で利用できるわけではありません。
介護保険の対象者は「要介護」・「要支援」認定者
介護保険で利用できるサービスは、対象者が限られています。その対象者というのは、
・ 要介護1〜5に認定された人
・ 要支援1〜2に認定された人
となります。
この「要介護」・「要支援」認定を受けるためには、お住まいの市区町村の窓口に申請する必要があります。申請の後、市区町村の職員やケアマネージャーなどの調査員が自宅を訪問し、介護を必要とする人の心身の状態などを調査。同時に主治医の意見書も参考に、介護認定が行われます。
「要支援」に認定された場合、「介護予防サービス」を利用できます。また、「要介護」に認定された場合は「介護サービス」を利用することができます。いずれも自己負担額は1〜3割。費用は地域区分により異なります。
いずれも「非該当」の場合には介護保険のサービスは受けられませんが、その他の在宅/施設サービスもありますので、市区町村の窓口で問い合わせてみることをオススメします。今回は、費用の目安(自己負担額1割の場合)とあわせて、サービスの内容をご紹介します。
1.居宅介護支援(ケアマネジメント)
まず最初に注目したいのが、「居宅介護支援」(ケアマネジメントとも呼ばれます)です。対象となる介護サービス利用者が、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるように、ケアマネージャーが利用者の心身の状況や環境に応じてケアプランを作成します。
また、プランに基づいて適切なサービスを受けられるよう、事業者や関係機関との連絡・調整も行ってくれます。
2.自宅で受けられるサービス
訪問介護
p>自宅で受けられるサービスの中でも、特に知っておきたいのが「訪問介護」サービスです。訪問介護とは、ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や排泄、入浴などの介護を行ってくれるサービスのことです。掃除、洗濯、買い物、調理など、生活の支援も行ってくれます。
自己負担額の目安としては、要介護1〜5の場合、身体介護(食事・排泄・入浴など)60〜90分未満で1回574円です。
自宅で受けられるその他のサービス
この他にも、自宅で受けられるサービスには下記のようなものがあります。
【訪問入浴】
利用者の身体の清潔を保ち、生活機能の維持、向上をめざすサービスです。職員が自宅を訪問し、入浴のサポートを行います。
自己負担額の目安は、要支援1~2の場合、845円/回、要介護1~5の場合1,250円/回となっています。
【訪問看護】
看護師などが利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づき診断の補助を行います。
(費用)
訪問看護ステーションからの場合
20分未満※1・・・311円/回
30分未満・・・467円/回
30分~1時間・・・816円/回
1時間~1時間30分・・・1,118円/回
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問の場合(20分以上):296円/回
病院または診療所からの場合
20分未満※1・・・263円/回
30分未満・・・396円/回
30分~1時間・・・569円/回
1時間~1時間30分・・・836円/回
※1 20分以上の訪問介護を週1回以上含むことを前提にした金額です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の場合
訪問看護費・・・2,935円/月
【訪問リハビリ】
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが利用者の自宅を訪問し、日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います。
自己負担額の目安としては、要支援1〜2の場合、20分以上の利用で290円/回。要介護1〜5の場合、290円/回です。
3.施設などで受けるサービス
心身が健康な状態でないと、自宅にこもりがちになってしまうことも考えられます。そのような方の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的とした、日帰りの介護サービスも数多く存在します。
通所介護(デイサービス)
利用者がデイサービスセンターなどに通い、食事や入浴など日常生活のサポートや、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスを受けられるのが「デイサービス」です。
高齢者のご自宅前に送迎の車が停まっているのを見たことはないでしょうか? 自宅から施設までの送迎もあるので、家族の負担も少なく、安心して送り届けてもらえます。レクリエーションや趣味の活動などもあり、利用者同士で交流を図ることができるのも特徴です。
通所介護には日常生活上の支援を行う「共通的サービス」に加え、利用者の心身の状態に応じて個別的に実施する「選択的サービス」があります。
自己負担額の目安は、要介護1の場合645円/回となっています。
その他の日帰りサービス
その他に、リハビリテーションを行う「デイケア」、看護師による観察を必要とする難病や認知症、脳血管疾患後遺症等の重度要介護者又はがん末期患者を対象にした「療養通所介護」、「認知症対応型通所介護」といったサービスもあります。
それぞれ自己負担額は、
【デイケア】
要支援1の場合、1,712円/月(共通的サービスのみ、選択的サービスは含まない)、要介護1の場合667円/回となっています。
【療養通所介護】
要介護1~5の場合、3時間以上6時間未満の利用で1,007円/回
【認知症対応型通所介護】
要支援1の場合、社会福祉施設等に併設されていない事業所で、7時間以上9時間未満の利用で852円/回、要介護1の場合で985円/回となっています。
短期滞在サービス
「短期入所生活介護(ショートステイ)」とは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が、介護が必要な方を短期間受け入れて、入浴や食事などの支援や、機能訓練などを行うサービスです。
自己負担額の目安としては、要支援1の場合437円/日、要介護1の場合584円/日となっています。
「短期入所療養介護」とは、医療機関や介護老人保健施設が、日常生活上の世話や、医療、看護、機能訓練などを行うサービスです。いずれも連続利用は30日までです。
自己負担額の目安としては、要支援1の場合、食事や談話などができる共用スペースがない従来型個室で575円/日、要介護1の場合753円/日となっています。
長期滞在サービス
【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)】
いわゆる「特養」と呼ばれる施設です。在宅復帰できることを目標に、長期的に施設で生活をし、日常生活上の支援や機能訓練、療養上の世話をしてくれるサービスです。利用の際には、施設サービス費のほか、居住費、食費、日常生活費などがかかります。
この施設は、要介護認定のある人しか利用できません。また、要介護1、2の場合には特別な理由がある場合以外は利用できません。自己負担額の目安は、要介護1の場合、従来型個室557円/日となっています。
【介護老人保健施設(老健)】
こちらも在宅復帰を目指して入所する施設です。施設では、可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、リハビリテーションや必要な医療、介護などのサービスを受けることができます。利用する際には、施設サービス費のほか、居住費、食費、日常生活費などがかかります。
この施設は、要介護認定のある人しか利用できず、要支援1,2の人は利用できません。自己負担額の目安は、要介護1の場合、(従来型)介護保健施設サービス費が基本型698円/日となっています。
【その他の施設】
この他に、看護師や医師、介護職員、管理栄養士などの専門スタッフによって医療・看護が提供される「介護療養型医療施設」があります。
また、民間の団体が運営する「有料老人ホーム」、有料老人ホームよりも比較的安く利用できる「軽費老人ホーム」等の「特定施設入居者生活介護」も、検討したい長期滞在サービスです。
4.訪問・通い・宿泊を組み合わせた介護サービス
小規模多機能型居宅介護
施設に通うデイサービスを中心にしながらも、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合わせて、日常生活上の支援や機能訓練を行ってくれるサービスです。
必要に応じて臨機応変に選べる点がメリットです。また、利用費が定額なので、何度も利用したい場合には積極的に検討したいサービスです。 自己負担額の目安は、要支援1の場合、3,403円/月、要介護1の場合10,320円/月となっています。
福祉用具の利用サービス
福祉用具のレンタル
こちらも、当事者でなければなかなか調べることはないかもしれません。知っている方は少ないのではないでしょうか?「車イス」や「介護用ベッド」など福祉用具のレンタルは、介護保険の対象になっています。
利用者の心身の状況や本人の希望、生活環境等を踏まえて、適切な福祉用具を選ぶための援助や取り付け、貸し出しまでを行ってくれます。利用者が日常生活を送りやすくなるだけでなく、家庭の介護負担の軽減も目的としています。
自己負担は1割(高所得者の場合は2~3割)で、対象となるのは、「床ずれ防止用具」や「手すり」、「歩行器」など13種類。対象となる用具は「要介護支援認定」のランクによって異なります。
福祉用具の購入支援
福祉用具の購入の際にも介護保険が使えます。対象となるのは「腰掛便座」や「入浴補助用具」「簡易浴槽」など5種類で、要介護ランクに応じて異なります。
いずれも1年の支給限度額は10万円で、一旦自分で全額を支払った後、費用の9割が介護保険から払い戻されます。
※詳細は各市区町村にお問い合わせください。
これまで介護保険について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?今すぐには必要なくても、前もってご自身で情報を仕入れておけば、市区町村の窓口での問い合わせや、ケアマネージャーと面談をする際にも安心です。まずは、介護保険対象サービスの全体像を頭に入れるところから始めましょう。
介護保険の改正ポイントとは?高所得者は3割負担へ
頼りになるFPの存在
「お金のことを相談できる場所やサービスがある」ことをご存じですか?
資産形成・家計見直しのプロフェッショナルとして、ファイナンシャルプランナー(FP)がいます。FPに相談することで、お金のお悩みやご不安の解決法のヒントが得られるかもしれません。
ご自分で調べるだけでは不安だという方は、「FPに相談する」という選択肢も検討してみませんか。
おさらい
- 介護保険で利用できるサービスは全26種類54サービスあり、利用対象は要介護1~5、要支援1~2に認定された人となります。
- 利用サービスは対象者によって自己負担額が異なるので、事前に各市区町村に問い合わせて確認しておきましょう。