もくじ
不動産運用とは
不動産運用を成功させ、安定した収入源を確保し、老後は悠々自適に暮らす。そんな生活、憧れますよね。 その第一歩を踏み出すためにも、今回は不動産投資、運用の基礎知識をご紹介していきたいと思います。
不動産を運用するメリット、考えておかなければいけないリスク、そもそも、不動産投資とはどういうことなのかについて解説していきます。
不動産の運用でもたらされる利益とは?
利益を得ることを期待して不動産に投資するという人が多いと思いますが、そもそもその利益はどこから生まれるのでしょうか?
不動産投資に重要なキーワードとして、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。
「インカムゲイン」とは、資産(不動産)を所有していることで得られる利益のことです。不動産を購入し、他者に貸すことで得られる賃料などが、これにあたります。
一方、「キャピタルゲイン」は、所有する不動産を売却する際、購入金額以上で売れた場合の利益のことを言います。
不動産運用においては、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」のバランスを考えることが重要になります。賃料収入を多く得られたとしても、不動産の資産価値が同じだけ下がってしまえば、トータルの資産としては増えたことになりません。
どちらに重点を置くかも論点となりますが、賃貸収入が見込めるか、資産価値が上がるかの両方の視点からみた不動産選びが重要となります。
不動産運用が注目される理由
一般的に投資は、リスクとリターンの関係によって分類されます(商品によってはこの限りではありませんが、一般的な分類です)。
①ハイリスクハイリターン・・・株式投資、FX(外国為替証拠金取引)など
②ミドルリスク・ミドルリターン・・・不動産投資など
③ローリスク・ローリターン・・・預貯金など
ご覧の通り、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンに分類され、リスクもリターンもある程度考えられる投資商品です。
大きな利益を目的に株式投資をする場合、株価の下落や投資した企業の業績の悪化などリスクも伴います。
不動産投資特有のリスクとして、地震によって建物が破損するなどが考えられますが、建物の価値が急激に下がることも少なく、土地を所有している限り評価額がゼロになるわけではありません。空室の場合以外は、基本的に賃料による収入を安定して得ることができます。
もちろん元手となる資金は必要となりますが、安定して一定の収入を確保する上で、不動産運用は魅力的な投資商品と言えるでしょう。
不動産運用で得られるメリットは?
不動産を運用することで具体的にどのようなメリットがあるのか、見てみましょう。
① 利回り(として考えた場合)の良さ
もし、3,000万円のマンションを購入して、賃料の5万円を得た場合、年間60万円の収入が得られ、利回りに計算しなおしたとすると
60万円(一年の賃料)÷3,000万円(マンション購入額)=0.02=2%
となります。 低金利の今の時代、高水準の利回り(相当額)が得られることがわかります。資金に余裕があるならば、考えてみたいのが不動産運用です。
②私的年金代わりに活用
不動産を購入した際のローンを完済してしまえば、賃料から修繕費などの必要経費を除いた分を、そのまま収入として得ることができます。
30歳で不動産投資を始めて、賃貸運用をしながら、20年でローンを完済すれば、50歳以降は一定の収入が安定して得られるということです。
老後の充実した生活費を確保するための私的年金代わりとして、不動産運用を考えてみるのもいいかもしれません。
③税制上のメリットがある
不動産運用をすることで得られた所得は、給与所得とは別に申告をする必要があります。
不動産所得が赤字の場合、給与所得からマイナス分を差し引くことができ、所得税の納税額を軽減することができます。これを「損益通算」と言います。
不動産所得が赤字と聞くと不安になりますが、これから詳細を説明します。まずは不動産所得の計算方法を見てみましょう。
不動産所得=年間収入額—必要経費
年間収入には、家賃や更新料が該当します。
ここで注目すべきは、必要経費の部分です。この必要経費には税金や損害保険料などが含まれますが、その中でも減価償却費がキーワードとなります。
■減価償却費とは?
時の経過とともに価値が減っていく資産のことを減価償却費と言います。所有する不動産が年月を経て劣化する部分を帳簿上で計上したもので、実際の支出を伴うものではありません。
しかし、税金計算上では、必要経費として捉えることができます。
減価償却費によって不動産所得が帳簿上で赤字になると、給与所得との「損益通算」ができるので、合計所得が少なくなり、所得税の還付が受けられます。
①合計所得=給与所得+(不動産所得)
→不動産所得が赤字のため減少する。
②所得税=課税される所得金額×税率-控除額
→合計所得が減ったため所得税が減る。
ただし、減価償却費は年々減っていきますので、不動産運営をしている限りずっと控除を受けられるというわけではありません。
不動産運営のリスク
不動産運営のメリットを見てきましたが、もちろん投資なのでリスクはつきものです。どういったリスクを考えておかなければいけないのか、見ていきましょう。
①空室・滞納などの稼働率のリスク
賃貸収入を目的に不動産に投資した場合、一番のリスクはその部屋が空室になることです。
また、トラブルになりやすいのが賃料の滞納。空室や賃料の滞納で稼働率が下がることによって、予定していた利益を得ることができない場合があります。
②流動性のリスク
運用においての流動性とは、必要に応じて自由に現金に交換できるかという基準を指します。
例えば、普通の預貯金に比べ定期預金などはすぐに現金に換えづらいため、流動性が低いと言われています。
不動産は資産に変わりありませんが、当然現金と同じように扱うことはできません。必要な時にすぐに現金化できないことは、ひとつのリスクと考えられます。
③建物老朽化・倒壊のリスク
建物である以上、老朽化は年月とともに進行していきます。メンテナンスを怠ると、さらに老朽化が進み、資産としての価値や、賃貸物件としての価値が低くなっていきます。
価値を保つためには定期的なメンテナンスが必要ですし、地震などの自然災害の場合は倒壊などのリスクが伴います。
不動産運用の知識について簡単に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回ご説明したのは基本的な情報ですので、実際に運用する際は、不動産の選定や、管理の方法、修繕の時期など多くの知識をつけておく必要があります。
不動産運用は投資ではありますが、物件購入以降は経営と考えるほうが良いかもしれません。手にした不動産の価値を上げることが、安定的な収入を得ることに繋がりますので、楽をして収入を得たいという考えだけでは運用が難しいということを覚えておきましょう。
不動産を所有しているのに運用で苦しむということがないよう、綿密な計画を立て、収支をコントロールしていきましょう。
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おさらい
- 不動産収入には、資産を保有していることで得られる「インカムゲイン」と資産を売却することで得られる「キャピタルゲイン」の2種類があります。
- 不動産運用をする際は、安定した収入を得られるメリットがある反面、借り手が見つからない、賃料滞納などのリスクも持ち合わせていることを理解しておきましょう。