もくじ
遺言は「自分に関係ない話」ではない
遺言は「お金持ちだけに関係があるもの」、「自分も親もまだ先の話だから関係ない」等と感じる人も多いかもしれませんね。また、自分の家族や親族がもめるなんて、考えられないかもしれません。しかし、相続財産を受け取る権利がある法定相続人が複数いるなら、相続にまつわるトラブル“争続(あらそうぞく)”に発展しかねません。生前に亡くなった人の意思を口頭やメール等で聞いていても、遺言等の法的な手順を踏んでいなかったために思わぬ争いに巻き込まれてしまうケースもあります。「家族や親族とはもめることは絶対にない」と思い込まずに財産を残す人も残される人も、法的に有効な“遺言”を検討しましょう。また、家族や親族から「遺言を書いてほしい」とはなかなか頼みにくいのも事実です。「自分が亡くなったら後は生きている者に任せた」ではなく、相続財産の配分に偏りがあるのなら遺言として明記しておくことも大切なことです。相続はいつ起こるか予測がつきません。親族間でのトラブルが生じて「争続」になってしまわないように、ポイントを押さえておきましょう。
遺言にも種類がある
みなさんは、遺言書にはどんなイメージがありますか?テレビドラマでは、仏壇の引き出しから出てきたのを見つけた、お葬式の時に弁護士が出てきて親族の前で読むなんていう場面を見たことがある人もいるのではないでしょうか。遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」3つの種類があり、種類ごとに決まりがあります。決まりを満たしてないと遺言が無効になってしまうケースもあるので、遺言書を書くときには注意が必要です。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、自分が手書きで書く遺言書です。作成の費用はかからず、手軽に作ることができます。しかし、自筆で書く、日付を正確に入れる、押印をする等の細かな注意点を満たす必要があります。形式の不備で無効になるリスクもあります。また、遺言書の開封時には、家庭裁判所での検認を得なくてはいけません。遺言書と言えば、自筆証書遺言を思い浮かべる人も多いと思いますが、形式や開封時の注意点等を慎重に確認しておく必要があります。なんだか大変そう……と思われた方もいるかもしれませんがご安心ください。2018年7月に成立した法律により、自筆証書遺言の方式が緩和され、遺言書に財産目録を添付する場合には、目録は自書しなくても良いということになりました。ただし、パソコンでの作成など自書以外で作成した場合には、1枚ごとに署名押印が義務づけられています。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証役場で口述した内容をもとに公証人(契約等を証明してくれる立場にある公務を行う専門家)が作成する方法です。費用は、遺産の金額に応じて決まり数万円程度から作成することもできます。費用はかかりますが、形式的な不備の心配をしなくてもいいのが特徴です。公正証書遺言は、公証人等のプロの手を借りることになるため、費用も時間もかかりますが、正式な遺言を残しておきたい人にとっては有効な方法といえるでしょう。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、内容は開示せず遺言書の存在を証明してもらう方法です。そのため、自筆証書遺言と同じく形式上の不備で無効になるリスクはあります。誰にも、遺言書の内容を知られたくないという人向けの方法です。
エンディングノートと遺言書の違い・使い分け
遺言書とエンディングノートとの大きな違いは、法的な効力があるかどうかです。前述したとおり、遺言は形式を満たすと法的な効力があります。エンディングノートは、法的な効力はありません。そのためエンディングノートに財産分割の希望を書いていたとしても、本人の意思を伝えることはできますが、その通りに実行する義務はありません。
しかし、エンディングノートでは、葬儀やお墓に関する希望や、自分が介護状態や延命が必要になったときのことを家族に伝えることができます。遺言書は円滑な資産承継のためだけのツールとして、エンディングノートは遺族が亡くなった人の“想い”を知るツールとして使いわけてもいいでしょう。万一に備えて、早いうちから準備しておくと安心です。また、遺言書の知識と共に、相続に関する知識も備えておくと安心ですよ。下記記事もぜひ参考にしてみてください。相続前に知っておきたい限定承認とは?期限はあるの?相続放棄とは?いつまでに手続きすればいいの?
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おさらい
- 遺言書がないと思わぬ争いに巻き込まれてしまうことがあるかもしれません。
- 遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」3つの種類があり、それぞれ内容が異なります。
- 遺言書とエンディングノートとの大きな違いは、法的な効力があるかどうかです。