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子どもの医療保険って必要?考え方のポイントとは

子どもの医療保険って必要?考え方のポイントとは

この記事の早わかり要約

  • 子どもの医療保険を考える前に、お住まいの自治体の助成制度を確認してみましょう。
  • 入院時には、治療費以外にもかかる支出が多くあることを踏まえて、子どもの医療保険を検討すると良いでしょう。
  • 子どもの医療保険を選ぶポイントは、「保険期間・保険料・保険金額・加入時期」です。子どもにとって最適な備えをしておきましょう。

子どもが生まれたら保険について考えよう

子どもが小さいうちは、急な発熱なども多く、大人よりも病気にかかりやすいと感じてしまいますよね。
「子どもが小さいうちは、医療費がかかるから、何か準備をしておいたほうがいいのかな」と思っているご両親もいらっしゃるのではないでしょうか。
出産をきっかけに家族の保険を見直す人もいるように、子どもが生まれたら、大人と同じように子どもの保険を考えるきっかけになります。大切なお子さんには、どんな保障が必要か一緒に考えてみましょう。

子どもは病気になりやすいの?

厚生労働省の平成29年(2017)患者調査の概況で発表している受療率を参考に、子どもの入院について見てみましょう。
受療率とは、特定の日に治療を受けるため通院などをした患者数と人口10万人に対する比率を表した数字です。
子どもの入院の受療率(人口10万人対)は、0歳は1062、1~4歳は170、5~9歳は92、10~14歳は92です。
その後、15歳以上や成人して年齢を重ねるにつれ、受療率は増えていき、60歳以上になると1000を超えます。
高齢者と比較すると、子どもの入院の受療率は低いことがわかります。一方で、外来の受療率を見ると、9歳までは高い数値を示しており、小学校低学年の頃までは入院よりも外来にかかるケースが多いことがわかります。

子どもの医療費助成制度

子どもの保険を考える上で大切なことは、「国や自治体の制度が充実していることを知る」ことです。
子どもの医療費は義務教育の就学前(7歳になる年の3月末)まで、自己負担は2割です。それに加えて、自治体が手厚い助成制度を行っていることが多くあります。
この制度のおかげで、子どもが病気になっても医療費の負担が軽くなります。都道府県が実施している助成制度や、市などが行っている独自の助成制度もあります。
これらの制度を利用するには、健康保険・国民健康保険などの医療保険制度に加入していることが前提となり、対象の年齢や制度の内容などはお住まいの地域や各自治体によって異なります。
今回は、事例として、東京都・名古屋市・大阪市の助成の内容の一部をご紹介します。ご自身の地区の助成内容は、自治体のホームページなどで確認することができますよ。
助成範囲や、所得制限の有無や内容は、市区町村により異なりますし、多くの助成制度を整えている自治体もありますので、事前によく確認しておきましょう。

東京都

◇ 乳幼児医療費助成(マル乳)
義務教育就学前の乳幼児が対象。自己負担分の医療費や薬剤費などを助成しています。
◇ 義務教育就学児医療費の助成(マル子)
義務教育就学期にある児童(6~15歳)が対象の助成制度。入院時は、自己負担分が助成されます。通院時は、自己負担分から一部負担金(上限200円)を控除した金額が助成されます。
出典:東京都保険医療局 東京都こども医療ガイド

名古屋市(愛知県)

◇ 子ども医療費助成制度
子どもが医療機関で受診をしたときに、医療保険の自己負担分について助成され無料扱いになります。中学校卒業前までが対象。親の所得制限はありません。
出典:愛知県 子ども医療制度

大阪市(大阪府)

◇ 子どもの医療費
大阪市内に住む0~18歳までの子どもが対象。12歳までは所得制限はないものの、12~18歳までは、親のどちらか所得が高い方の年収によって所得制限が発生します。
医療費にかかる自己負担分の一部に助成があります。自己負担は1病院1日当たり最大500円、月に2日までが限度で3日以降の自己負担はありません。入院と通院は別々に計算します。
同一月に自己負担が2,500円を超えた場合には、申請することで超過分の払い戻しを受けることができます。
出典:大阪市 こどもの医療費を助成します
入院時の差額ベッド代・健康診断・予防接種など保険診療の対象にならない費用は助成対象外です。

医療費以外の出費も考えて

病気の際の医療費は、助成制度でカバーできる可能性があるため、大きな支出を心配する必要はないかもしれません。
ですが、万一入院をした場合、医療費以外のお金が必要になることもあります。入院時には医療費のほかにも、交通費・タクシー代、親の食事代などの費用がかかることも押さえておかなければなりません。
また、子どもの入院は大人と違い、一人での入院が難しいこともあり、付き添いが必要になることもあります。
共働きなら、夫婦のどちらかが仕事を休んで付き添う必要があるかもしれませんね。その場合、収入が減ってしまう可能性もあります。
このように家計全体でみると、助成制度で治療費の負担の心配は減りますが、その他の支出はかさんでしまいがちです。
子どものための医療保険は、そんな支出をカバーしてくれる補助的な役割と考えるのも良いかもしれません。

子どもの医療保険にはどんな種類があるの?

子どもが加入できる医療保険にもさまざまな種類があります。

終身医療保険

保険料は一般的に年齢が若い方が割安になります。子どもの頃から加入することで、割安な保険料で加入でき、毎月の保険料を抑えることができます。終身タイプですと、そのままの保険料で一生涯の医療保険を確保できます。

学資保険に特約を付帯

教育費の備えとしての目的を持つ学資保険の特約として、医療保障を付帯する方法があります。教育費を準備しながら、入院時などにも備えられるのが特徴です。
しかし、学資保険の保険期間が満了になったら、医療保障も消滅してしまいます。その後も保障を必要とする場合は、再度別の医療保険などに加入し直す必要があります。

親の保険に特約を付帯

親が加入している生命保険などに、家族の医療保険を特約として付帯する方法です。

傷害保険・共済保険

損害保険会社で取り扱いのある傷害保険や、共済保険なども子どもが加入できる保険です。
傷害保険は、ケガによる通院や入院などを補償する保険です。また、他人にケガをさせてしまったり、モノを壊してしまったりした場合に対応する個人賠償責任保険もあります。
共済保険は、一般的に、保険会社の医療保険と比較すると、低廉な保険料で保障が確保できるのも大きな魅力でしょう。

子どもの医療保険、どう選ぶ?

子どもの医療保険はどんな基準で選択するのがいいのでしょうか。主なポイントは、4つです。

ポイント1.保険期間

はじめに押さえておきたいのは保険期間です。
「子どもが自分たちの手を離れるまでの期間(短期間)」とするのか、「子どもが大人になっても加入し続けること(長期間)」を前提とするのかを考えましょう。保険期間によって、加入する保険の種類も異なります。
短期間で検討するなら、親の保険に特約として付帯する方法や傷害保険などで対応することも選択肢のひとつです。
長期間なら、医療保険の終身タイプに加入して、子どもが成人になったら契約者を子どもに変更すると良いでしょう。

ポイント2.保険料

毎月の保険料も選ぶ上で大切な基準です。保険料は会社によって異なるので、よく比較してから加入するのが良いでしょう。
また、子どもが大人になっても続けたいと考えている場合は、子どもに契約者を変更した場合に負担にならないかどうかも大切なポイントです。

ポイント3.保険金額

住んでいる地域の助成制度があることも踏まえて、入院日額などの保険金額をいくらに設定するのかを考えましょう。

ポイント4.加入時期

いつ病気になるかはわからないため、もし加入するのであれば、早めに検討しておくと安心です。

祖父母から孫へ安心をプレゼント

プレゼント、すなわち贈与されたお金を医療保険の保険料として支払う方法です。
孫の名義で保険契約(親権者が契約)をして、祖父母から贈与されたお金を医療保険の支払いに充てることで、有効に贈与されたお金を使うことができます。
まとまった金額の贈与なら、一時払にすることで、保険料を割安にすることもできます。支払いがすんでいれば、子どもが大人になって契約を譲り受けても、保険料を支払う必要はありません。
大切な孫の保障のためだとしたら、おじいちゃん、おばあちゃんも喜んでくれるのではないでしょうか。
子どもの医療については、各自治体の助成が手厚いことも事実ですが、大切なわが子のためにはより大きな保障を準備しておきたいと考える人もいるでしょう。
「子どものために」と思うのが親心。子どもの成長を安心して見守れるよう、医療保険や保障についてよく考えてみて下さいね。

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おさらい

  • 子どもの医療保険を考える前に、お住まいの自治体の助成制度を確認してみましょう。
  • 入院時には、治療費以外にもかかる支出が多くあることを踏まえて、子どもの医療保険を検討すると良いでしょう。
  • 子どもの医療保険を選ぶポイントは、「保険期間・保険料・保険金額・加入時期」です。子どもにとって最適な備えをしておきましょう。

(最終更新日 : 2024年8月22日)

執筆者

荒木 千秋

ファイナンシャルプランナー、大阪電気通信大学金融経済学部特任講師

現在は、同大学の講師を中心としながら、お金に関する個別相談や、WEB媒体の執筆、女性向けセミナー等を開催。

メガバンクにて、富裕層や法人オーナーを対象とした投資相談業務に従事した経験により、金融商品の販売側と一般の投資者側の両方の視点に立ったお金の知識を伝えることをモットーにしている。

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