もくじ
4月1日から東京都で自転車保険義務化がスタート
交通手段としてや趣味、健康増進として等、子どもからお年寄りまで幅広い世代で愛されている自転車ですが、自転車を取り巻く環境が少しずつ変化しています。
2015年にはじめて兵庫県で自転車保険の義務化が導入されて以降、その動きは全国に広まりつつあります。そして遂に令和2年4月1日から、東京都でも自転車保険義務化が始まりました。4月現在では15の都道府県、8の政令市が義務化を進めています。
自転車保険義務化エリア
またすぐに義務化を導入せず、「努力義務」という過程を経る自治体もあります。実際に東京都もこれまでは努力義務としていました。努力義務とは、「努力」という言葉の通り、自転車保険加入に努めるということです。
出典:国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
自転車保険義務化の対象者は誰?
自転車保険の義務化は国土交通省が全国に要請しているものの、現在はまだ全ての自治体での義務化に至っておりません。しかし、義務化対象エリア外だからと言って、気にしなくていいということではありません。
自転車保険義務化は、義務化対象エリアで自転車に乗っている人全てが対象になります。義務化エリアに居住していなくても、通勤や通学、サイクリング等で該当のエリアに自転車で行くという人は対象になるということを覚えておきましょう。
罰則はあるの?
自転車保険義務化は、自転車保険の加入を促進し自転車利用者の事故等に対する意識向上を目的としており、現状では罰則は設けられていません。しかし今後もずっと罰則がないとも限りませんし、罰則がないからと言って、守らなくていいわけではありません。一人ひとりの意識の高まりが自転車事故の防止に役立ちます。
交通事故死傷者の半数は自転車乗用中と歩行者
警察庁によると、交通事故死者数のうち、約半数が歩行中もしくは自転車乗用中の死者であるとされています。また、その約7割を高齢者が占めています。
さらに、自転車乗用中の死亡事故の7~8割が信号無視や安全運転義務違反などの法律違反に該当しているという事実もあります。
つい軽い気持ちでスマートホンを操作しながら、大きなボリュームで音楽を聴きながら自転車に乗っているということはありませんか?あわや正面衝突という経験をしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
たとえ自分がどれだけ交通ルールを守って安全に乗車していたとしても、絶対に交通事故にあわないという保証はないのです。
出典:警察庁交通局 平成30年における交通死亡事故の特徴等について
過去の自転車事故で賠償金額が高額化したケース
乗車にあたり免許が必要なく、気軽に利用できる自転車に対して、どれだけ危機意識を持っていますか?
自転車同様に身近な乗り物として車がありますが、車の運転には免許が必要な上、車の所有者には対人賠償事故による被害者への損害を補償する自賠責保険の加入が義務づけられています。対して、自転車には強制加入となる保険がありません。
「車ほど危険ではない」「事故にあってもほとんど軽傷」なんて思っていませんか?過去には自転車事故によって賠償金が高額化したケースがあります。自転車保険の必要性について考えさせられる出来事です。
出典:一般社団法人日本損害保険協会 自転車での加害事故例
各地での自転車事故やそれに伴う裁判が起こり、自転車事故や自転車保険への意識が高まっています。だからこそ一層、自転車保険義務化への動きが活発化しているのです。
日本での車の免許取得は18歳からですが、自転車は小学生や中学生といった子どもが利用する機会が多い乗り物です。また子どもが一人で乗ることもあるでしょう。
自転車保険義務化エリアにおいては、親自身が自転車に乗っていなくとも、未成年の子どもが自転車を利用する際は、親が自転車保険に加入しなければなりません。自分の子どもの安全のためにも自転車保険の備えは必要なのです。
自転車保険とは
自転車保険とは、「自転車利用者が加害者となり、被害者に対して民事上の損害賠償責任を負うことになった場合、損害賠償を行うための金銭負担を補償する保険や共済のこと」と定義されていますが、わかりやすく言うと、被害者の保護と加害者の経済的負担の軽減を目的とした保険です。
どのような保険にも言えることですが、特約を付加することで大きな補償(生命保険では保障)を得ることができますが、それだけ保険料も高くなります。必要な補償内容、補償金額と既存の保険でカバーできないかを確認することをクセづけるようにしましょう。
参考:国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
自転車事故に備えるために考えておきたい2つの補償
入院したときの備えとして医療保険、亡くなったときの備えとしての生命保険があるように、自転車乗車中の事故等、偶然のリスクが発生した際に備える保険として損害保険があります。損害保険にも目的に応じて様々な種類がありますが、ここでは自転車事故の備えに役立つ保険について見ていきましょう。
個人賠償責任保険 【被害者の補償】
自転車事故が起きたときに一番に考えたい補償は、自分が加害者になってしまったときの被害者への補償です。個人賠償責任保険は、偶発的な事故によって損害賠償責任を負った際に備える保険のことで、他人にケガを負わせてしまった場合等が該当します。
傷害保険 【加害者の補償】
傷害保険とは日常生活においての傷害・ケガに備える保険です。これは、どのようなケガでもいいわけではなく、急激性・偶然性・外来性の3要素を満たした際が補償対象となります。自転車事故といったような予期できない出来事によるケガが対象となり、補償には死亡・後遺障害、入院、手術、通院等の種類があります。
自転車保険義務化にあたり、どの自治体でも「被害者への補償」を最重要視しています。その他には自分がケガをした際の補償を満たしていると安心ですが、被害者との交渉を代わりに行ってくれる「示談交渉サービス」といった補償などもあります。
既に自転車事故を補償してくれる保険に加入している場合がある
自転車保険義務化の流れを受けて、焦って自転車保険に加入しないと!と心配になっていませんか?焦って新しい保険に加入すると補償内容が重複してしまうかもしれません。
まず、既に加入している保険で、自転車事故の補償ができるものがないか見てみましょう。特約で個人賠償責任保険等が付加されているケースが考えられます。特に普段から車に乗るという方は加入している自動車保険は要チェックです。
また、ご自身が契約者でなくても、個人賠償責任保険等は、1つの契約で家族全員が補償対象となりますから、配偶者や同居しているご家族等の保険内容も確認してみましょう。その際は補償金額の確認も忘れずにしてくださいね。
前述したように、自転車事故の賠償金額が高額になるケースもあるので、保険加入していても補償金額が心もとないということがあるかもしれません。補償金額がいくらあれば安心なのかよく考えてみてください。また1年で契約が切れてしまう保険がほとんどですので、更新も忘れずに行いましょう。
【自転車保険加入の前のチェック項目】
①今加入している保険で自転車事故の補償もカバーできるものはないか
②既存保険を活用する場合、補償金額は足りているか
③新たに保険に加入することで補償の重複にならないか
【こんな保険に加入していたら補償内容をチェック】
・自動車保険
・火災保険
・クレジットカード等の付帯保険
・会社の団体保険 等
新たに加入する場合でも、月の保険料が数百円といったように、生命保険や自動車保険に比べて安価で加入できるのが自転車保険です。備えておけば、いざというときに安心ですね。
また、商品によって、積立タイプのものやひとつの保険でご夫婦、ご家族まで補償できるものもあります。安心・安全な自転車ライフを送るためにも、必要な補償をよく考えてみてくださいね。
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おさらい
- 全国で自転車保険義務化への意識が高まり、義務化対象エリアが急速に広がっています。
- 自転車保険でまず考えたいことは、被害者への補償と自身のケガの補償です。
- 既に加入済みの保険で自転車事故の補償をカバーできるものがないか、忘れずに確認しましょう。
※このコラムは、保険の概要についてご紹介したものです。ご契約(団体契約の場合はご加入)にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくご確認ください。ご不明な点等がある場合には、当社 損保営業推進部03-6801-8256までお問い合わせください。
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