もくじ
ソルベンシー・マージン比率とは?
ソルベンシー・マージン比率は生命保険会社の経営状態を判断する指標の1つで、通常の予測以上に発生したリスクに対する「支払余力」を表す指標のことです。生命保険会社は保険事故(死亡や入院など、保険金の支払い事由となる出来事)が発生する度合い(=リスク)をあらかじめ計算した上で、保険商品を開発しているのです。
大数の法則を超えるような事態
保険事故は大数の法則(経験的確率と理論的確率が一致するという法則)を用いているので、1人1人で見たときには不明確な出来事も、一定規模以上の数を集めることにより、確率をかなり正確に割り出すことができるのです。この大数の法則に当てはまらないような出来事が起こると、想定外の保険金や給付金の支払いをする必要があります。
たとえば東日本大震災のような何十年・何百年に一度の災害などが想定外の出来事と言えます。このような事態が起こった時に想定以上の支払いがどれくらい可能かを示すものが、このソルベンシー・マージン比率です。
安全な会社とその計算方法とは
前述のように、ソルベンシー・マージン比率は通常以上のリスクに対してどれだけお金があるかという比率です。単純な式で表すと{保有資産/(通常以上のリスク×0.5)}×100です。この式をよく眺めてもらうと、なぜか分母(通常以上のリスク)の方に0.5を掛けた式となっています。つまり、その式に0.5がない場合のソルベンシー・マージン比率はすべての値が半分になるのです。
何が言いたいのかわかるでしょうか。仮にソルベンシー・マージン比率が200%の保険会社があるとします。その会社の(保有資産/通常以上リスク)×100の値は100%にしかならないのです。この会社は通常の支払い以上の支払いをすることが難しい会社ということです。
ランキングも参考程度に
ソルベンシー・マージン比率は一般的に200%以上が安心とされていますが、実は一概にそうとも言いきれません。ソルベンシー・マージン比率の上位ランキングを見ると歴史の浅い保険会社が見つかることもあります。新規に参入した保険会社は保有資産に対してリスクは少なくなり、ソルベンシー・マージン比率は高くなる傾向にあります。保有契約自体が少ないので当然のことでしょう。
また、ソルベンシー・マージン比率が200%を超えていながら、経営破綻をした保険会社もありますので、いくつ以上だと安心というのは言えないのが現状です。
1つの指標だけにとらわれないことが大切
ソルベンシー・マージン比率以外に、保険会社を判断する指標として「格付け」というものもあります。格付けとは、経営状態をはかる指標の1つです。保険会社を選ぶ際は、これらの指標や口コミ、評判なども含め、多くの視点から選ぶと良いでしょう。保険会社の格付けとは?見るべきポイントはどこ?
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おさらい
- ソルベンシー・マージン比率とは、想定外のリスクに対する保険会社の支払余力を表す指標のことです。
- ソルベンシー・マージン比率が200%以上だと安心だとされていますが、新しい保険会社の数値は高くなる傾向があるので、数値だけで良し悪しは判断できません。
- 実際に保険会社を選ぶときは、指標だけでなく、多くの視点から選ぶことが大切です。