もくじ
小規模宅地等の特例とは
「相続はまだ先のことだし、自分には関係ない」と思っている人もいるでしょう。そんな人も知っておきたい相続関連の制度が“小規模宅地等の特例”です。小規模宅地等の特例を簡単に説明すると「亡くなった人が宅地として使用していた土地は、2~5割の評価額で相続してもいいですよ」というものです。小規模宅地等の特例は、細かな条件が決められたり、専門用語が多く出てきたりするので難しく感じるかもしれません。基本的な内容は「亡くなった人が宅地として使用していた土地は、条件にあてはまれば、評価減しますよ」ということです。
小規模宅地等の特例をもう少し専門的に説明すると、「個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価格の計算上、一定の割合を減額する」という特例です。相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や、相続時精算課税に係る贈与で取得した宅地等はこの特例を受けることはできません。
要するに、どういった内容なの?
小規模宅地等の特例が適用できる宅地は4種類に分類されています。「特定居住用宅地等」「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」です。宅地ごとに、それぞれ限度面積と減額割合が異なります。
亡くなった人が住んでいた自宅を相続したときに当てはまる、「特定居住用宅地等」の場合について見てみましょう。相続開始直前に亡くなった人が居住していた宅地は、限度面積が330㎡で減額割合は80%が適用されます。仮に、特定居住用宅地等に該当する330㎡以内の土地を相続して、土地の評価が5,000万円だとすると、2割の評価の1,000万円が相続税上の評価になります。しかし、この制度ははすべての相続人が使えるわけではありません。特定居住用宅地等の特例が使える相続人は、亡くなった人の配偶者、もしくは同居の親族等の要件に当てはまった場合です。同居の親族が相続した場合にはその家屋に住み続けることが必要等の居住要件もあります。万一、配偶者も同居の親族もいないときには、相続開始前3年以内に日本国内に自分の自宅を所有していない親族が対象になることもあります。
将来を見据えた住宅購入を
地価が高い都心や、広大な面積の自宅等を保有している場合は、減額される割合が大きい小規模宅地の特例を検討することも選択肢です。この特例は、高額な相続税を支払うことになった場合に、相続人が引き続き居住したり、事業を引き継ぐことができなくなってしまったりすることを考慮しています。相続税の基礎控除等の改正に合わせて、平成27年1月1日から特定居住用宅地等の限度面積が240㎡から330㎡に拡大しています。自宅を持っている人にとってはより活用しやすくなりました。この特例を使用するには、亡くなった人の配偶者または同居の親族等の条件を満たすことが必要になります。一人っ子の人や、自分が実家を引き継ぐ予定の人等は、住宅を購入すべきか、相続を見据えて同居すべきかを検討すると良いでしょう。小規模宅地等の特例を活用するのなら、近い未来に親との同居も視野に入ってくるかもしれません。また、実家から離れて暮らしている場合等は、将来は実家に帰るという選択肢もあるかもしれません。ただし、利用の方法を誤ると特例が使えなくなってしまうこともありますし、他にも様々な条件があります。小規模宅地の特例に興味を持った人は、税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
※本記載は、2018年3月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署などにご相談ください。
頼りになるFPの存在
「お金のことを相談できる場所やサービスがある」ことをご存じですか?
資産形成・家計見直しのプロフェッショナルとして、ファイナンシャルプランナー(FP)がいます。FPに相談することで、お金のお悩みやご不安の解決法のヒントが得られるかもしれません。
ご自分で調べるだけでは不安だという方は、「FPに相談する」という選択肢も検討してみませんか。
おさらい
- 小規模宅地等の特例は「亡くなった人が宅地として使用していた土地は、5~8割減額した評価額で相続してもいいですよ」というものです。
- 小規模宅地等の特例が使える人は、亡くなった人の配偶者と同居の親族であること等の一定の条件があります。
- 相続税が発生する家を相続する際は、小規模宅地等の特例が活用できないか検討すると良いでしょう。