もくじ
上がった?下がった?あなたの路線価はどっち
国税庁は2017年7月3日に、相続税や贈与税の基準となる2017年分の路線価を発表しました。路線価の全国平均は、2016年より0.4%のプラスで2年連続して上昇しました。東京都中央区銀座の「鳩居堂」前は、32年連続日本一で1平方メートルあたりの価格は4,032万円で、1992年のバブルの直後の3,650万円を上回りました。
都道府県別では、東京、大阪、愛知などの13都道府県の変動率の平均値が上昇しています。石川県と岡山県の2県は前年度と変わらず、残りの32県は下落しています。それでも、地方の中核都市などを個別にみてみると路線価が上昇している地域もあるため、皆さんの実家や住んでいる土地を確認してみるといいでしょう。
路線価上昇が話題になる理由とは
皆さんが、実家の資産を相続する場合を想像してみてください。どれくらいの金融資産や土地があって、どれくらいの相続税がかかるのかは知っていますか?「バッチリ把握しています!」という人よりも、「そんなことは親に聞けないから知らない…」と感じている人の方が多いのではないでしょうか。
国税庁が発表した2015年の相続財産の内訳は、土地が38.0%で最も多く、現金・預貯金が30.7%と続きます。このように相続財産の多くを占める土地ですが、相続財産としての土地の値段は相続が発生してからはじめて知ったという人もいます。
相続財産として、土地の値段を計算するときに使うのが「路線価」です。路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があり、一般的に路線価というと「相続税路線価」を表します。路線価とは、道路に面する宅地1平方メートルあたりの財産の標準価格を示していて、相続税や贈与税の計算の基準になります。相続税などの計算基準となるため、路線価が上がれば相続財産としての土地の評価額は上がりますし、路線価が下がれば相続財産としての土地の評価額は下がります。私たちの生活に影響があるために、路線価は話題になるのです。
特に、2015年1月から相続税法の改定があり、相続財産から差し引くことができる基礎控除が「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」から「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」へ引き下げられ、相続税を納める人が増えました。その基礎控除の引き下げに加え、路線価の上昇や株高による有価証券の評価額の上昇などもあって、相続税に対する意識が高まっています。
土地の評価の方が高い!準備の方法は?
預貯金より土地の割合が多い人は、相続税を支払う準備はどうすればいいのでしょうか。相続税が支払える預貯金があれば心配ありませんが、保有している現金よりも土地の評価額の方が大きいと相続税が支払えなくなります。その場合は、あらかじめ売却できる土地なら売却して現金化する方法や、自宅などの売却できないような土地であれば生命保険を活用して現金を準備する方法があります。保険金として受け取った金額は、相続人が受け取った際には「法定相続人×500万円」の控除枠があります。
皆さんも、万が一相続が起こったときに対応ができるかどうか、ご家族と話し合いをしてみてくださいね。
※本記載は、2018年3月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署などにご相談ください。
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おさらい
- 国税庁は2017年7月3日に、相続税や贈与税の基準となる2017年分の路線価を発表しました。都心部だけではなく、地方の中核都市など路線価が上昇している地域もあるため、みなさんの実家や住んでいる土地を確認してみましょう。
- 相続税を支払う準備・路線価は相続税などの計算基準になり、私たちの生活に影響するため話題になります。
- 現金より土地の割合が多い人が相続税を納税するためには、土地の売却や生命保険の活用等といった方法があります。