もくじ
「給付型奨学金」とは? 返済不要の国の奨学金がスタート!
2018年から日本初の、国の予算で行う返済不要の奨学金「給付型奨学金」が本格的に始まります(一部は2017年スタート)。運営は日本学生支援機構(以下、JASSO『ジャッソ』)です。昭和18年にJASSOが大日本育英会としてスタートして以来、初の実現だそうです。どんな生徒が対象となるのか確認してみましょう。給付型奨学金の趣旨は、「経済的理由で進学をあきらめていた生徒に、大学等へ進学するための後押しをすること」なので、支給申込資格は“低所得世帯”が主な対象です。
また、2017年8月現在では、進学する前の段階で採否が決定する「予約採用」のみのため、高校3年生時に手続きを進める必要があるようです。学校によってスケジュールが違うので、高校2年生の冬あたりから学校へ相談すると良いでしょう。
<給付型奨学金の申込資格>
① 住民税非課税世帯・生活保護世帯の人
② 社会的養護を必要とする人(18歳時点で児童養護施設等に入所している生徒又は里親等に養育されている生徒)
他にも、各学校で推薦基準を策定したり、推薦枠が決まっていたりして、支給対象は1学年で2万人です。推薦は、各学校がJASSOの示す基準に沿って行いますが、両親が既にいないなど、社会的養護を必要とする生徒は推薦枠とは別に推薦が可能になっています。
<給付型奨学金の推薦基準>
・人物、健康、学力および資質、家計を勘案。
・学力は、調査書の学校成績概評のA判定が必要。
給付型奨学金と併用可能な公的奨学金はあるの?
給付型奨学金を受給しながら、併せて利用できる公的奨学金には、JASSOの無利息の奨学金などがあります。そのほか、大学や各種団体・自治体も多くの奨学金を設定して生徒・学生を応援しています。今回の改正で無利息の奨学金の貸与については、低所得の家庭の生徒は成績評定の縛りが解除されました。「家にお金がないから」と進学をあきらめていた生徒さんには、大きな後押しとなるに違いありません。JASSOは、文部科学省から委託を受けて全国の奨学金情報を網羅しており、ホームページから進学先の場所や学校の奨学金を便利に探すことができます。大学、短期大学、地方公共団体・奨学金事業実施団体等の情報が検索可能です。中には、入学後に申し込める奨学金もあります。
また、留学する学生のための奨学金は、短期や学部留学、大学院留学と各種あり、給付型の種類も金額も多く、外国政府からの給付型奨学金も充実しています。こちらもJASSOのホームページから探すことができます。とても多くの情報があるJASSOのホームページですが、留学の民間奨学金などは募集期間が過ぎると閲覧できなくなることもあります。親子共に、進学を考えたら、時々JASSOのホームページをチェックしてみましょう。
奨学金の返済に困ったときには 減額返済・返済期限猶予制度
一時「奨学金貧乏」問題が話題に上りました。受験時期と重なるドタバタの最中に奨学金の手続きをすることになるため、本人や家族の理解不足を招いていることが要因かもしれません。もうひとつ注意したいのは、安易に奨学金を借り過ぎないことです。現代はクレジット社会。少額でも返済が滞ると、本人の金融機関の「信用情報」に返済が滞った事実が記録され、クレジットカードを作る際や住宅ローン審査などで“不適格”となってしまう恐れがあります。
借りた奨学金は、毎月きちんと返済し、病気などで支払いが難しくなった場合は、至急JASSOなどの借入先へ相談しましょう。貸与型で返済が必要な奨学金制度を利用して返済に困った際には、減額返済や返済期限猶予制度などを活用することができます。
いかがでしたか? 国の給付型奨学金から、地方公共団体まで、多くの「学びたい気持ちの応援団」があるようです。親子で将来への夢が膨らみますね。このような国の制度があるものの、教育費の準備やその方法については、お子さまのいるご家庭でしたらしっかりと確認しておきたいものですよね。下記記事も参考にしてみてください。教育費準備には保険?ジュニアNISA?何がいい?
▼かんたん教育費シミュレーションで、実際に算出してみるのもおすすめです。
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おさらい
- 日本で初めての給付型の公的奨学金制度が2018年本格的にスタートします。
- 対象となる生徒は、住民税非課税世帯や生活保護世帯などで、2018年度は1学年2万人に支給予定です。
- 奨学金の返済が難しくなったら、すぐに日本学生支援機構等の借入先に相談を。減額返済・返済期限猶予制度などがあります。