もくじ
株式の相続と売却
親族などに不幸があり、相続人(法律で定められた遺産を受け取る権利がある人)が財産を相続した場合、遺産額が3,000万円+600万円×法廷相続人の数の基礎控除額を超えると、相続税が掛かります。
「財産」には株も含まれますが、では、相続する際の株の財産評価はどのように算出するのでしょうか。
また、相続後に株が値上がりした場合、売却する際の税金はどのようになるのでしょうか。今回は、株式の相続と売却について考えてみましょう。
上場株式の相続!財産評価は?
相続する際の株の財産評価には、「上場株式」、「気配相場等のある株式」、「取引相場のない株式」の3種類に分類して判断されます。
今回はもっとも一般的で、値上がりする可能性のある「上場株式」について考えましょう。
毎日、証券取引所で取引されている上場株式は、その値段(株価)がすぐにわかります。
しかし、常に変動している株式を、どのタイミングで財産評価するのでしょう。
それにはルールがあり、以下の4つのうち、いずれかの最も低い金額をもって算出するように決められています。
1.相続または贈与した日の終値
2.当月の終値の月平均額
3.前月の終値の月平均額
4.前々月の終値の月平均額
ただし、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与である「負担付贈与」の場合は、贈与を受けた日の終値で評価します。
値上がり中の上場株式を相続!相続税はどうなる?
株式を相続する際、よく相続人同士で問題になりがちなのが、どんどん値上がりしている株式の場合です。
株に値上がり、値下がりはつきものなので、話し合いが必要です。
また、上場中の株式の財産評価は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期の終値によって評価します。
相続人が複数いる場合、株式の財産評価が上がれば、他の相続財産にも影響が出てきます。
また、相続財産が基礎控除より少ない場合は、相続税はかかりません。相続税がかかるのか、かかるならいくらなのかもしっかり確認しましょう。
気になる!売却する際の税金は?
さて、相続した株式を売却することにした場合、税金はどうなるのでしょうか?
以下の2つのパターンに分けて考えてみましょう。
① 相続する際に、相続税を払っていない場合
② 相続税を払った場合、売却するタイミングに注意
①は、相続する財産が基礎控除を超えず、相続税が発生しなかったという状況です。
相続ではなく通常通り取得した上場株式を売却した場合と同じと考えられるため、課税されるのは売却で得た利益の20.315%(所得税15.315%+住民税5%)となります。
②の相続税を払った場合は、売却するタイミングに注意が必要です。
なぜなら、「相続税の取得加算費の特例」という制度があるからです。
これは、相続の開始があった日の翌日から3年10ヶ月を経過する日までに相続財産を譲渡した場合は、譲渡益にかかる税金負担が少なくなる可能性があるという制度です。
まずは専門家に相談しよう
先に記載した「相続税の取得加算の特例」制度を利用する場合は、複雑な計算式のもと、負担する税金が決まります。これを自分で計算するのはかなり困難です。
また、株式だけではなく他にも相続する財産はあるかもしれません。
預貯金や不動産など他の相続財産についても相続税を気にかける必要があったり、相続人が多かったりするとその配分など計算することが多くなり、精神的な負担や相続人同士のトラブルが発生しやすくなります。
未然にトラブルを防ぐためにも、株式の相続があった場合は、税理士などのプロの方に早めに相談するのが良いでしょう。
※本記載は、2018年4月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
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おさらい
- 相続した株が値上がりした場合、まずは相続税の対象となるかどうかを確認しましょう。
- 相続して値上がりした株を売却する際は、タイミングによって支払う税金が変わる可能性があります。