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学資保険の選び方 返戻率はどう考える?

学資保険の選び方 返戻率はどう考える?

この記事の早わかり要約

  • 学資保険には教育費を貯めるという側面と、契約者である親に何かがあったときの備えという保障としての側面があります。その点が他の貯蓄方法と大きく異なる点です。
  • 学資保険を選ぶ大きなポイントとなる返戻率ですが、加入時期、保険料の払い方、保険金の受け取り方などによっては、返戻率を上げることができるかもしれません。
  • 本当に必要なときに保険金を受け取れるように、いつお金が必要になるのかをしっかりとシミュレーションしておくことが大切です。

子ども一人につき1,000万円以上!?教育費はいくら必要?

かわいい我が子の誕生。幸せいっぱいの日々の始まりですね。しかし子育てにはお金がかかるもの。特に子どもの教育費がいくらかかるのか不安に感じている方が多いのではないでしょうか。
「貯蓄が思うようにできない!」
心当たりはありませんか?
貯蓄が成功しにくい理由として、どうして貯蓄が必要なのか、いつまでにいくら必要なのかといった理由が明確でないことが挙げられます。
子どもの教育費を貯めるなら、子どもが何歳のときまでにいくら必要なのかをまず押さえておきましょう。
大学に行くか行かないか、公立に進むか私立に進むかなど、子どもの進路や子どもの人数によって、貯めなければならない金額は異なります。
例えば、幼稚園から大学までオール公立の場合でも一人につき、約1,000万円が必要ですし、オール私立の場合は2,000万円を超える金額が必要になるのです。
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査
日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果(令和元年度)
これらの金額を大学入学前に全て貯める必要はありませんが、おおよその金額を知っておくことは大切です。大体の必要な金額がつかめたら次は貯蓄方法を考えましょう。
銀行預金、外貨預金、ジュニアNISA、資産運用など、貯蓄の手段は様々です。その中から自分に合った方法を選択するには、まずは仕組みをよく理解しておくことが大切です。
ここでは、教育費の準備の代表格とも言える学資保険について詳しく見ていきましょう。
教育費の内訳は?幼稚園から大学までいくらかかる?
教育費準備には保険?ジュニアNISA?何がいい?
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子どもの教育費をシミュレーション!

学資保険とは?

学資保険とは子どもの教育費を準備することを目的とした保険です。子どもの教育費が多くかかるタイミングを満期に設定し、保険金を受け取れるようにしておけば、計画的に教育費を準備することができます。
毎月一定額が銀行口座から引き落とされるので、あまり意識せずとも教育資金を準備しやすいというメリットもあります。
また、途中で解約をすると、解約返戻金が支払保険料を大きく下回る可能性があるので、「損をしたくない」という心理から、満期まで契約を継続しやすいという一面もあります。
満期を迎えると満期保険金が受け取れますが、子どもが一定の年齢に達したときに「お祝い金」が受け取れるタイプもあります。

教育費準備だけでなく、保障という一面もあるのが学資保険

学資保険は保険と名がつく通り、契約者である親に万が一があった際の保障が備えられています。
保険料を支払う親が亡くなってしまったり、重度の障害状態になってしまったりした場合、それ以降の保険料の払い込みが免除になる保険料払込免除特則が設けられているものが一般的です。
さらに満期を迎えると、満期まで払い込みをしたときと同じように、満期保険金を受け取ることができます。対象となる要件は、保険会社によって異なるので事前によく確認しましょう。
また、育英年金があるタイプですと、契約者に万が一のことがあった場合、満期保険金とは別に、満期まで年金形式で保険金を受け取ることができます。
教育費を準備する方法は多くありますが、保障がついているという面が、他の方法と学資保険の大きな違いと言えます。

学資保険って本当に必要?どんな人にオススメ?

教育費を貯めたいからと言って、学資保険に必ず入らないといけないわけではありません。
どうしても周りのママ友達が学資保険の話をしていると気になってしまうかもしれませんが、家庭に合った無理のない方法で教育費を準備していくことが一番大切です。
とは言いつつも、子どもの進学のタイミングのたびに必要になるお金を貯めていくことは容易ではありません。自分できちんと準備する自信がない方は学資保険を検討してみてもいいかもしれません。

こんな人にオススメ!学資保険

・自分でコツコツとお金を貯められない貯蓄が苦手な人
・毎月着実にお金を貯めていきたい人
→ 保険という特性上、教育資金の準備がしやすい
・万が一の事態にも備えたいという人
→ 親の保障の機能がついている点が強み。商品によっては子どもの保障をつけられるタイプも

学資保険シミュレーション 選び方のポイントと返戻率

ここでは、学資保険を選ぶポイントと返戻率について詳しく見ていきます。

①学資保険加入の目的を明確にする

学資保険の場合は、「子どものために教育資金を準備する」というのが第一目的となります。
その他の目的としては、親が亡くなった時の保障(死亡保険金)、子どもが病気・ケガをした時の保障などが挙げられます。
学資保険の目的として保障をどこまで備えるかを考えることがひとつのポイントとなります。既に加入している保険があるなら、保障部分の内容が重複していないかも確認しておきましょう。
また、「大学入学時までに200万円貯める」など、どのタイミングでいくらのお金を受け取りたいのか等、明確な目標も定められるとなお良いでしょう。

②教育資金準備に重点を置くか? 保障を重視するか?

学資保険には、教育資金準備に特化した一般的なタイプと保障に特化したタイプの2つがあり、それぞれ以下の特徴があります。
【教育資金準備に特化したタイプ】
資金準備に向いている学資保険。保障型と比較すると返戻率が高く設定されている
【保障タイプ】
教育費を準備することに加え、親の死亡保障、子どもの医療保障などを手厚くした保険。一般的に返戻率は低くなる
保障型は、親にもしもの事があれば育英年金や死亡保険金が支給されたり、子どもがケガをした時には保障を受けられたりというメリットがある反面、返戻率は低くなり、満期で受け取れる保険金が支払った保険料総額より少なくなってしまうことがあります。
お金を貯めることだけを目的とするのか、病気やケガの備えも一緒にするのかをよく考えて、どちらのタイプにするかを決めましょう。

③加入のタイミング 「早ければ早いほど」がベスト

学資保険の保険料はさまざまな条件により決定しますが、そのうちのひとつが契約者と被保険者(子ども)の年齢です。
どちらも若い方が保険料は安くなりますし、返戻率が高くなる可能性があるので、加入時期は早ければ早いほど良いと言えます。
また、中には妊娠中でも加入できる学資保険があります。出産前に加入するなんて気が早いと思うかもしれませんが、産後は何かと忙しくなりがちです。妊娠中の方が意外と時間があり、プランの比較をゆっくりできるものです。
出産前の場合、「出産予定日の140日前」など、いつから加入できるかは保険会社によって異なりますので事前に確認しておきましょう。
また、あまり考えたくないことですが、出産前に加入していると、契約者に万が一のことがあった場合でも保険料の支払いが免除され、満期保険金等を受け取ることができます。
学資保険の中には、年齢によって加入できなくなるタイプもあるので、既に子どもが生まれた人で加入を検討している場合は早めの決断をオススメします。

④返戻率

学資保険を選ぶポイントとして重要なものに「返戻率」があります。返戻率とは、支払った保険料総額に対して、受け取ることのできる保険金総額(満期保険金 + お祝い金)の割合のことです。
返戻率は以下の式で表すことができます。
返戻率(%)=受取保険金総額(満期保険金+お祝い金)÷ 支払保険料総額× 100
返戻率が100を超えると、支払った保険料よりも多くが手元に戻るということで、この割合が高いほど、教育資金の準備に有利な学資保険ということになります。
しかし、返戻率だけを見て、返戻率の高いものを選べばいいのかというと、必ずしもそうとは言えません。
また、同じ保険商品でも保険料の支払い方や受け取り方を工夫するだけで、返戻率をアップさせることも可能です。

⑤保険料の支払い方 返戻率アップには「まとめて」

保険料の支払い方法には、半年払年払全期前納払一時払などがあります。
商品によっては、対応していない支払方法もありますが、一般的に年払や全期前納払など、まとめて支払う方が月払よりも保険料が安くなります。
つまり、結果的に受取総額に対して支払う保険料が安くなり、返戻率が上がるということです。

⑥払い込みを完了させる年齢は?返戻率アップには「短期」がオススメ

支払い回数を減らすことと同様に、保険料の払込期間を短縮することでもまた、支払う保険料を抑えることができます。
学資保険の払い込みは、金銭的に余裕があるならば早い段階で完了するのがオススメです。
それは、払込期間の長さによって、支払保険料の総額や返戻率に差が生まれるからです。短期払いにすると月々の保険料は高くなりますが、その分、支払総額が抑えられます。つまり、返戻率が上がるということです。
また、子どもが成長するにつれ、必要なお金も増えていくので、小学校・中学校の義務教育のうちに払い込みを終えると、家計にも負担が少ないでしょう。
ただし、無理は禁物。家計と照らし合わせて、無理なく継続的に支払える方法を選びましょう。
【払込期間による一般的なメリット比較】
・短期間で払込を終える…返戻率が高くなる
・契約満了まで支払いを続ける…月々の保険料が安くなる

⑦受取総額の目安は200~300万円

日本政策金融公庫 令和元年度教育費負担の実態調査結果によれば、子どもの大学入学時にかかる費用と1年間の在学費用は、国公立で約180万円、私立理系で約270万円です。
2年目以降も在学費はかかりますが、まずは300万円をひとつの目安にすると良いでしょう。
月々の保険料は契約する保険のプランや払込期間、年齢によって変わりますが、受け取る保険金が200~300万円の場合は、おおよそ1万円強~2万円ほどになります。途中解約とならないように、無理のない保険料の金額を設定しましょう。

⑧保険金の受け取り方 「まとめて」がポイント

学資保険に加入する前に、いつ満期保険金を受け取るのかをシミュレーションしておきましょう。
満期日とは、子どもの誕生日と思われている方もいるかもしれませんが、誕生日と契約日によって決まります。本当に必要なときにお金が受け取れなかったということがないようにしっかりと満期日を設定しましょう。
学資保険の加入時期と受け取りタイミングはいつがいい?
【お金が必要なタイミング】
・大学推薦入学時(早めの入学金支払いを見越した場合)
・大学受験・入学準備のための一時的な資金の準備
・大学進学前と進学後(入学後の学費にも対応)
・大学進学後(学費や下宿などの費用に対応)
【受け取り方】
・入園や入学など子どもの成長に合わせてこまめにお祝い金と保険金を受け取る
・大学入学時などお金がかかるタイミングでまとめて保険金を受け取る
一番まとまった教育資金が必要になる大学受験・入学時にまとめて受け取るなど、具体的に考えてみましょう。
お金のかかる入学時期にお祝い金を受け取ることができるのは嬉しいことですが、お祝い金を毎回受け取るのではなく、途中で受け取らずに据え置きにしておくことで受取額を増やすことができます。つまり、まとめて受け取った方が返戻率は高くなるのです。
お祝い金はプレゼントされるものではないので、途中でお祝い金を受け取ると将来受け取れる保険金が減ってしまうことになります。
子どもの進路はどうなるか想像できませんし、シミュレーションをすればするほど迷ってしまうこともあるかもしれません。
そんなときは、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談すると良いでしょう。各家庭に沿ったアドバイスをしてきた経験から、それぞれの状況に合ったプランや保険金の受け取り方のシミュレーションをしてもらえるでしょう。

学資保険の注意点 デメリットもしっかり確認

学資保険は固定金利商品ですので、インフレに弱いというデメリットもあります。金利上昇や教育費の高騰も考えられますが、物価の変動に対応できないという点があることも押さえておきたいポイントです。
これまで学資保険について見てきましたが、学資保険の必要性、選び方や使い方はイメージできたでしょうか?学資保険は教育費を貯めていくものなので、将来的に見て、戻ってくるお金が多い方が嬉しいものですが、途中解約とならずに契約を継続できるよう、各家庭に合ったプランを選ぶことが重要です。
子どもの将来のためにも、ポイントを押さえて賢い学資保険選びをしてくださいね。
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おさらい

  • 学資保険には教育費を貯めるという側面と、契約者である親に何かがあったときの備えという保障としての側面があります。その点が他の貯蓄方法と大きく異なる点です。
  • 学資保険を選ぶ大きなポイントとなる返戻率ですが、加入時期、保険料の払い方、保険金の受け取り方などによっては、返戻率を上げることができるかもしれません。
  • 本当に必要なときに保険金を受け取れるように、いつお金が必要になるのかをしっかりとシミュレーションしておくことが大切です。

(最終更新日 : 2022年10月13日)

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