中村亮一FPインタビュー

病気やケガなど何かあったときのリスクだけでなく、何もなかったときのリスクまで考えることが大事

20代前半はベルボーイ、ドアマンなどホテル業界の仕事に従事。父が亡くなったことで、「保険」というものを意識するようになり、一生ものの仕事に就こうとFPへの転身を決意。外資系保険会社勤務を経て、現在に至る。

お客さまだけでなく、自分にとっても保険の選択肢を増やすことができた

中村FP(ファイナンシャルプランナー)が、保険について初めて考えたのはいつのことでしょうか?

父親が亡くなったときです。私が25歳のときだったのですが、今までの人生で保険のことなんて考えたことがなく、どういう仕組みで何がどうなっているのかさっぱりわかりませんでした。

父の会社の社宅に住んでいたので、父が亡くなり、すぐに出ていかなければならなくなりました。持ち家は人に貸していたのですが、いざ住むとなると、築年数も古くとても住める状態ではなかったのです。

そんなとき、父の死亡保険金が給付され、そのお金をリフォーム費用に充て、私たち家族は住む家を確保できました。そういった保険に助けられた経験が、初めて保険というものをきちんと考えるきっかけでした。

そのような経験もあり、保険関係の仕事に従事されることになったわけですね。では、いざご自身の加入している保険を見返してみていかがでしたか?

こういう保険に加入していたのか!と理解したところからのスタートでした。

何も知識がなかった私は、会社に出入りされていた営業の方に相談し、保険に加入したのですが、当時は月にいくらまでなら払えるということが一番重要な部分でした。何を基準に考えるべきなのかということを全くわかっていなかったのです。

知識をつけた今でしたら、そのような基準で保険には加入しませんし、また、FPとして当時の自分に勧めないと思います。私は保険とお金の両方に携わりたいと思いFPに転身したわけですが、お客さまだけでなく、自分にとっても、保障にはこれ、資産形成にはこれと保険の選択肢を増やすことができたのは大きいですね。

「老後のリスク」について考えることが大切

最近では、お客さまからどのような相談が多いですか?

以前に比べ、独身の方や若い方の相談が多くなりました。私が若い頃は、今が楽しければいいと考えていたものですが、最近では、20代など若い頃から老後を真剣に考えているという方も随分と増えました。

独身の30代女性の相談時のことです。正社員ではないので収入が少ないけど、お金を貯めたいし保障もほしい、でも貯められないというお悩みでした。ご家庭の事情もありましたので、どう考えてもお金が余らず、自分だけではどうにもならないということだったのです。

結果的に、将来何もなければお金が戻ってくるタイプの医療保険に加入され、最優先事項だった医療保険に加入しつつも、資産形成も考えられるというお客さまにとって納得のいく保険を見つけることができました。

このように若いうちから将来をしっかりと考えている方が多くなってきたという印象です。

そうなのですね。保険業界全体で見ると、一時払い終身保険の販売停止や、解約返戻率の引き下げ、保険料の値上げなど、めまぐるしく変化しています。このような状況に、消費者はどのように向き合えばいいのでしょうか。

消費者の方も体感として現状に気がついています。子どもが生まれ、一人目と同じ学資保険に加入したいけど、解約返戻率がすごく下がっているというような感じです。

なぜそうなのかということを、今の経済状況を含めて説明するのですが、マイナス金利が一生続くとも限らないですし、解約返戻率も今後良くなるかもしれません。

しかし、将来的にそうだとしても、お子さまのためにお金を使う時期は決まっているので、待ってはいられないのが本音です。収支の面だったら自分たちである程度コントロールできても、経済状況はコントロールできませんからね。

そんなときは、日本だけじゃなく、世界で見ていきましょうと言います。全世界で考えると、100人いたら日本円をメインに使っている人は少数です。大半が米ドルを使って生活しています。

この現状を見ると、円だけを持っていて安心なのでしょうか。ちょっとでも外貨に目を向けて意識を持つことが大切だと思いませんか?

将来への不安を持っていない人は少ないでしょう。昔、高度経済成長期の頃、人口は爆発的に増えました。今も世界で見ると人口は増えていますが、日本においては減っています。

そうすると何となく経済が急成長することはないだろうと予測できます。つまり、頼れるのは自分自身だけです。何か自分でやらなければいけないのです。

不安を認識しないまま年を取ってしまうのは危険です。皆さん、車の免許を取ったら自動的に自動車保険に加入しますよね。でも、自動車保険に加入するときって事故をおこすつもりで加入しているわけではありません。

自動車保険や火災保険は何かあった時のリスクのため、困ったときに助けてもらう補償の役割です。

このように、ケガをした、病気になった、事故をおこしたというマイナスのことだとリスクに感じやすいですが、逆に何もなかったときがリスクになるというイメージはしづらいですよね。

しかし何もなくてもリスクはあります。抜け落ちがちですが、老後のリスクです。つまり、お金の備えです。保険は保障とお金の二本柱でできています。そこについて認識していただくことが大事です。

目的なくゴールをめざすのではなく、方向性を定めることで貯蓄がしやすく

何もないリスクですか…。確かになかなかイメージしづらいかもしれません。具体的な事例はありますか?

例えば私の知り合いの話です。本当でしたら今は年金を満額でもらえているはずでした。年金は加入が義務付けられているので、本来払わなければいけないものですが、いろいろな事情があり年金の支払いをしていなかったそうなんです。

今は80歳を超えていますが、年金の受給がなく、息子さんに面倒をみてもらっています。80歳くらいの人たちですと、払っている以上にもらえる世代です。

この方の場合、仕組みがわかっていなかったからこそ理解が足りず、年金をもらえないということになってしまいました。同じように、あのときこうしていれば良かったとお客さまが思わないためにもFPがいます。

わからないことへのリスクもまたあるのですね。では、どういった方がFPに相談した方がいいと思いますか?

お客さまの中には、保障を厚くしたい、保険の見直しをしたい、貯蓄をしたいなど明確な目的がある方もいらっしゃいますが、明確な理由がないという方も多くいらっしゃいます。

よくわからないけどモヤモヤしているという方は、一度方向性を定めるためにもご相談いただいた方がいいかと思います。

目的なくゴールをめざし、走り続けるのは難しいですよね。同様に、めざすべきものなく貯蓄をしていくことも難しいですから。

編集後記

温和で安心感のある中村FPのリフレッシュ方法は、食べたいものを食べたいだけ食べること。高くておいしいのは当たり前なので、安くておいしいものを見つけることが中村流。ご自宅付近にも行きつけのお店がいくつかあるのだとか。生きる源となる「食」を大事にする中村FPだからこそ、生きる上で必要な「保険とお金」を人一倍大事にされているのだなと実感した一日でした。

マネードクターとは、ライフプラン、保険、年金、税金など、人生において大切なお金のことを、お金のプロ・ファイナンシャルプランナー(FP)にご相談いただけるサービスです。ご相談は一度きりではなく、かかりつけ医のようにいつでもお気軽に何度でもご相談いただけます。マネードクターのFPは一人ひとりの人生を豊かにする一生のパートナーです。